末光鉄之助

末光鉄之助：地方新聞界を牽引した情熱と革新のジャーナリスト

末光鉄之助（1873年6月 - 1950年5月29日）は、山口県出身の実業家、そしてジャーナリストとして、激動の時代を駆け抜けました。関門日日新聞社の社長として、地方紙の地位向上に尽力し、同盟通信社の理事も務めるなど、その活動は多岐にわたります。閑院宮載仁親王からの受賞や日本新聞協会総裁表彰など、その功績は広く認められました。

進取の精神で地方紙を牽引

末光鉄之助は、山口県下関市で生まれ育ち、地域の発展に深く貢献しました。特に、関門日日新聞社社長としての功績は大きく、当時、中央紙が地方に進出する中で、独自の視点と経営戦略で対抗し、発行部数トップの新聞社へと成長させました。その進取的な経営感覚は、中央のメディアからも高く評価されました。

1940年には、関門日日新聞社が閑院宮載仁親王から報道陣の活躍を嘉賞されるという栄誉に浴しました。さらに、1942年には、末光鉄之助個人もジャーナリストの徳富蘇峰らと共に日本新聞協会総裁から表彰され、その存在感を示しました。

文化人、言論人との交流

末光鉄之助は、ジャーナリストとしての活動だけでなく、思想家や言論人との交流も積極的に行いました。徳富蘇峰との書簡のやり取りからも、その思想や知識の深さが窺えます。

末光家の出自は下級武士でしたが、先祖が長州藩主を救った功績により、上級藩士に取り立てられたという逸話が残っています。邸宅は、赤間神社や引接寺といった名所旧跡に隣接し、伊藤助太夫の邸宅も近隣にあったことから、末光家が長州藩において重要な地位を占めていたことが分かります。

激動の時代を生き抜いた家族

末光鉄之助の家族もまた、激動の時代を生き抜きました。長男の賢吉は関門日報社の会長を務め、二男の正人は読売新聞社の政治部記者として活躍しました。正人は、早稲田大学時代に新聞部と自動車部を創設し、豪快なエピソードも残っています。国際政治記者としても才能を発揮し、大家壮一らと共に世論形成に貢献しました。妻は豪商の娘であり、中野半左衛門一族との縁も、末光家の地位を盤石なものとしました。

しかし、末光家が所有していた土地や資産は、戦後GHQによって凍結されました。これは、新聞社が戦争を牽引した責任を問われた結果でした。

末光鉄之助の遺産

末光鉄之助は、地方新聞の可能性を追求し、ジャーナリズムの世界に大きな足跡を残しました。その功績は、現代においても地方メディアのあり方を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。激動の時代を生き抜いた末光鉄之助の生涯は、日本のジャーナリズム史に深く刻まれています。

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