末尾至行

末尾 至行（すえお よしゆき）の略歴と業績

末尾至行（すえお よしゆき、1927年9月23日 - 2023年6月16日）は、著名な日本の人文地理学者であり、関西大学名誉教授として知られています。彼は神戸市で生まれ、1952年に京都大学文学部史学科を卒業後、1971年には「水力開発=利用に関する歴史地理学的研究」により京大文学博士の学位を取得しました。彼の研究は、特に水車に焦点を当てたものが多く、日本における水力利用の歴史を追求した学問的な業績として評価されています。

研究活動の経歴としては、奈良女子大学で助教授を務めた後、1967年には関西大学文学部に助教授として入職し、教授に昇進しました。1998年に定年退職し、名誉教授となりました。また、東西学術研究所の委嘱研究員としても活動し、1986年から1988年、1992年から1994年の間には人文地理学会の会長を務めました。

彼が主に研究した水車は、日本の伝統的な技術の一環として、歴史的・地理的な観点から深く分析されています。その研究は、農業の水利用から発電などの現代的な水力資源の利用へと及び、水車が果たす役割やその変遷を明らかにしました。2009年4月には、その功績が認められ、瑞宝中綬章を受章しました。

主著書

末尾至行は多くの著書を筆頭に、以下のような代表作を残しました：

• - 『水力開発=利用の歴史地理』（1980年、大明堂）
• - 『日本の技術 12 水車先人の技術遺産』（1994年、第一法規出版）
• - 『中近東の水車・風車』（1999年、関西大学東西学術研究所研究叢刊）
• - 『日本の水車 その栄枯盛衰の記』（2003年、関西大学東西学術研究所研究叢刊）

また、彼は編纂や翻訳も手掛けており、以下のような重要な作品には以下のものがあります：

• - 編著：『人文地理 教養のための22章』（1988年、橋本征治共編、大明堂）
• - 編：『トルコの水と社会』（1989年、大明堂）
• - 共訳：ピエール・ジョルジュ他著『行動の科学としての地理学』（1969年、大明堂）
• - 共訳：T.S.レイノルズ『水車の歴史 西欧の工業化と水力利用』（1989年、藤原良樹、細川ヨシノブ共訳、平凡社）

彼の功績は、単なる学問の枠を超え、水環境や人間との関係を再考するきっかけとなりました。末尾至行の研究は、彼の死後もなお、地域や社会の水の利用に関する理解を深めるために重要な資料として残り続けることでしょう。

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