末延芳晴

末延芳晴（すえのぶ よしはる、1942年 - ）は、日本の評論家として知られています。東京に生まれ、東京大学文学部中国文学科を卒業後、同大学院修士課程を中退しました。その後、ヨーロッパでの生活を経て、1973年から1998年までの間、ニューヨークを拠点に米国の現代音楽や美術に関する批評活動を展開しました。

帰国後は、文芸評論へと領域を広げ、幅広いテーマで評論活動を行っています。2012年には、『正岡子規、従軍す』で第24回和辻哲郎文化賞を受賞し、その評論家としての地位を確立しました。

末延芳晴の著書は多岐にわたり、音楽、文学、歴史など、幅広い分野に及んでいます。以下に主な著書を挙げます。

『メトロポリタン歌劇場』音楽之友社, 1993
『回想のジョン・ケージ　同時代を生きた8人へのインタヴュー』音楽之友社, 1996
『永井荷風の見たあめりか』中央公論社, 1997
『荷風のあめりか』平凡社ライブラリー, 2005
『荷風とニューヨーク』青土社, 2002
『ラプソディ・イン・ブルー ガーシュインとジャズ精神の行方』平凡社, 2003
『夏目金之助 ロンドンに狂せり』青土社, 2004, 新版2016
『森鷗外と日清・日露戦争』平凡社, 2008
『寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者』平凡社, 2009
『正岡子規、従軍す』平凡社, 2011
『原節子、号泣す』集英社新書, 2014
『慶應義塾文学科教授 永井荷風』集英社新書, 2018

これらの著書からもわかるように、末延芳晴の関心は、音楽、文学、歴史、そして日米文化交流など、多岐にわたっています。特に、永井荷風や夏目漱石、森鷗外といった近代文学の巨匠たちに関する著書は、それぞれの作家の生涯や作品を深く掘り下げ、新たな視点を提供しています。

また、ガーシュインやジャズといったアメリカ音楽に関する評論や、寺田寅彦のような科学者の伝記も手がけており、その幅広い知識と深い洞察力がうかがえます。

末延芳晴は、単なる評論家としてだけでなく、文化と社会に対する深い理解を持つ知識人として、日本の言論界に貢献しています。彼の著作は、読者に新たな発見と知的刺激を与え続けています。

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