末浦広海

末浦広海：実体験を活かしたリアリティあふれる警察小説の世界

末浦広海氏は、1964年兵庫県生まれの小説家、推理作家です。関西学院大学経済学部卒業後、システムエンジニアや経営コンサルタントとして活躍。その経験は、後に執筆活動において大きな財産となります。2008年、第51回江戸川乱歩賞を受賞した『猛き咆哮の果て』（後に『訣別の森』と改題）で作家デビューを果たしました。

幅広いジャンルと独特の視点

末浦氏の作品は、警察組織を舞台にしたサスペンスやミステリが中心です。緻密なプロットと、現実社会の闇を反映したリアリティあふれる描写が特徴です。単なる事件解決物語にとどまらず、人間の業や社会問題にも鋭く切り込み、読者に深い思考を促す作品が多いことも魅力の一つです。

代表作：キャップ・嶋野康平シリーズ

『不眠刑事と探偵の朝』を皮切りに展開される「キャップ・嶋野康平シリーズ」は、不眠症に悩む刑事・嶋野康平と探偵が、難事件に挑む物語です。嶋野の抱える内面的な葛藤や、事件解決への執念がリアルに描かれ、多くの読者を魅了しています。シリーズを通して、人間関係の複雑さや、正義と悪の境界線の曖昧さを問いかける作品となっています。

不眠刑事と探偵の朝 キャップ・嶋野康平
不眠探偵と哀しき暗殺者 キャップ・嶋野康平II
不眠探偵と刑事の絆 キャップ・嶋野康平III

代表作：東京五輪対策室シリーズ

東京オリンピック開催を背景にした「東京五輪対策室シリーズ」は、警視庁の特殊部隊がテロ対策などに奔走する姿を描き、緊迫感あふれる展開が魅力です。五輪開催という一大イベントの裏側で起こる様々な陰謀や事件を、緻密な描写で解き明かしていきます。

始動 警視庁東京五輪対策室
包囲 警視庁東京五輪対策室

その他の作品

これ以外にも、末浦氏は多くの作品を発表しています。それぞれの作品において、警察官、捜査官、そして事件に巻き込まれる人々の心理描写が深く、社会派ミステリとしての側面も持ち合わせています。

訣別の森
捜査官
白き失踪者
檻の中の鼓動
刻命
* 暗躍捜査 警務部特命工作班

システムエンジニアから作家へ

末浦氏の経歴は、他の作家とは一線を画しています。システムエンジニアや経営コンサルタントとしての経験は、彼の作品に独特のリアリティと深みを与えています。緻密なプロットや、組織内部の複雑な人間関係、そして社会問題への洞察など、これらの経験が活かされた作品世界は、多くの読者に支持されています。末浦広海氏の今後の作品にも期待が高まります。

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