本所上水

本所上水（ほんじょじょうすい）

本所上水は、別名亀有上水とも呼ばれ、江戸時代に江戸の町に設けられた六つの上水の一つです。この上水は、現在の東京都墨田区、江東区一帯にあたる隅田川東岸地域へ水を供給する重要な役割を担っていました。

開削時期

本所上水の開削時期については、複数の説が存在します。

『御府内上水在絶記』によれば1659年（万治2年）
『本所上水堀新開一件』によれば1675年（延宝3年）
『上水記』によれば元禄年中

これらの説にはずれがありますが、いずれにしても明暦の大火（1657年）以降に新設されたことは確実です。明暦の大火によって江戸の街は大きな被害を受け、その後、大規模な復興事業が行われました。本所上水は、その復興の中で、新しく発展した隅田川東岸地域への給水のために建設されたのです。

給水経路

本所上水の水源は、埼玉郡瓦曽根溜井（現在の埼玉県越谷市瓦曽根周辺）でした。そこから分水された水は、開渠（蓋のない水路）を通って、亀有、寺島、小梅を経由し、法恩寺橋東まで達しました。そして、この水は本所方面一帯へと供給されました。

一時的な廃止と再利用

1683年（天和2年）、本所上水は一時的に廃止されました。その背景には、本所・深川方面が度重なる水害に見舞われ、武家屋敷や町家がその地域から撤退していったという事情がありました。

しかし、その後、隅田川東岸地域の再開発が進み、1688年（元禄元）には、本所上水は再び使用されるようになりました。この再利用は、復興した地域への安定的な給水のために不可欠でした。

廃止

1722年（享保7年）、本所上水は青山上水、三田上水、千川上水の三上水とともに廃止されました。これにより、本所上水の歴史は幕を閉じました。

現在

本所上水の水路は、その後、曳舟川となりましたが、現在では暗渠化されています。しかし、本所上水の存在は、江戸の都市計画や上水道の歴史において重要な役割を果たしたことを物語っています。

外部リンク

葛飾区 葛飾区史 第3節 近世の葛飾

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