本所法

本所法について

本所法（ほんじょほう）は、中世日本の荘園制度において、荘園に関する一定の権利や義務を定めた法です。この法律は、荘園内での司法や行政活動を行う本所によって制定・施行されました。荘園制度そのものは、主に貴族や寺社が土地を支配・管理する仕組みで、利益の確保と治安の維持が重要視されていました。

本所の役割と法の構造

「本所」とは、複数の職階層の中で荘務、即ち環境支配にあたる権利を持つ者を指します。彼らは司法・行政・警察に関する権限を有し、荘園内での法的支配を行使しました。本所法には、元々存在した法体系に基づくものと、荘園内部の慣習法を基に本所が認めた法が含まれています。さらに、本所は地域の特性に応じて独自の規則を制定することもありました。

歴史的に見ると、平安時代までこの権限は、国衙や官司が独占していましたが、荘園が成立し、「不輸の権」や「不入の権」といった権利が確立されると、次第に官吏や国衙の影響力は薄れ、本所がその権限を手に入れることになります。しかし、荘園を寄進した者や実際の運営を行う者の中には、官吏職を兼任している者が多くいました。このため、本所法も完全に国衙の影響を排除できるわけではなかったのです。

荘園と本所法の多様性

さらに、本所法の構造は荘園毎に異なり、すべての荘園に共通する要素を見出すことは容易ではありません。また、本所法は、本所の内政（家政）に関する法规と、荘園に直接適用される荘園法とに分類することができ、二つの法律がしばしば混在していることも特徴です。荘内の秩序維持や年貢の安定的確保を目的として、本所法が制定され、荘官と本所の間で合意された文書が交わされることもありました。

鎌倉時代から室町時代への変化

鎌倉時代に入ると、地頭という新たな権力層が登場し、本所法の影響力は次第に制限されます。地頭は、その役割として「大犯三箇条」や地頭請の裁量を行使し、荘園内の支配権を強化しました。さらに室町幕府の成立により、荘園に対する支配権が一元化され、武士階級が荘園への介入を正当化する道が開かれました。そのため、本所法は武家法の補完的な役割に留まり、やがて荘園制度の崩壊と共にその役割を失いました。

まとめ

本所法は、中世の複雑な権力関係を反映した重要な法律であり、荘園制度の核心を成していました。この法体系は、公共の秩序や産業の安定を保つために機能していたものの、時代の変遷とともにその役割と重要性は変化していきました。荘園制度の変革と共に、本所法の実施も段階的に廃れ、その影響は現代まで続いています。

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