本町駅 (愛知県)

本町駅（ほんまちえき）

本町駅は、かつて愛知県名古屋市中区に位置していた名古屋鉄道瀬戸線の廃駅です。

歴史

本町駅周辺は、大正時代には遊園地が作られ、1935年には近くに招魂社（後の愛知縣護國神社）が移転するなど、賑わいを見せていました。しかし、駅は市電と並行する区間にあり、さらに列車の運行本数が少なかったため、利用客はあまり多くありませんでした。特に末期には、日中の運行間隔が40分に1本程度と非常に少なかったことが、利用低迷の一因でした。

1911年（明治44年）10月1日：瀬戸電気鉄道の駅として開業。
1952年（昭和27年）3月25日：無人化。
1976年（昭和51年）2月15日：栄町乗り入れ工事の開始に伴い廃止。

駅構造

本町駅は、名古屋城の外堀の中に位置し、本町橋の東側にありました。駅の構造は、相対式ホーム2面2線というシンプルなものでした。

特筆すべきは、駅の西側（堀川駅方面）に位置する本町橋の存在です。この橋は名古屋城の外堀を渡る道路橋ですが、橋の支間が狭く、複線分の幅を確保することができませんでした。そのため、複線の線路を重ねて単線の用地にはめ込む「ガントレット（単複線）」と呼ばれる特殊な構造が採用されました。このガントレットは、本町駅構内に属していましたが、1943年当時の配線図では「招魂社前信号所」と記載されています。

ガントレットはヨーロッパなどで採用例があり、日本では玉川電気鉄道の二子橋にも一時的に見られましたが、その解消後は、本町駅が日本唯一のガントレットを持つ駅でした。この特殊な構造のため、堀川駅 - 本町駅間は1つの閉塞区間とされ、複線であるにもかかわらず1列車しか入れない状態でした。

本町橋は、線路の敷設と同じ1911年7月に架橋されました。本町橋の支間が狭かった理由には諸説あり、旧日本陸軍が橋の拡張を認めなかった、電鉄側が拡張に必要な追加資金を調達できなかったなどの説があります。開業当時、ガントレットは清水橋、久屋橋、本町橋の3か所に存在しましたが、前2者は橋の架け替えや拡幅によって解消されました。しかし、本町橋の支間は拡張されなかったため、本町駅のガントレットは廃止まで残ることになりました。

現在、本町橋は道路橋として利用されています。

配線図

（配線図の記述は省略）

現況

本町駅の鉄道施設はすべて撤去され、跡地は草木に覆われています。かつて駅があった場所を特定することは困難になっています。

隣の駅

名古屋鉄道（名鉄）

瀬戸線

堀川駅 - 本町駅 - 大津町駅

脚注

（脚注の記述は省略）

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