本間三郎 (物理学者)

本間 三郎

日本の物理学者、本間 三郎（ほんま さぶろう）は、1935年9月4日に群馬県高崎市で生まれ、2006年12月15日に逝去しました。高エネルギー粒子加速器を用いた原子核物理学および素粒子物理学の実験研究を専門とし、東京大学での教育・研究活動に加え、専門学校教育にも深く関わりました。

経歴

本間氏は群馬県立高崎高等学校を卒業後、東北大学理学部物理学科に進学し、1959年に卒業しました。引き続き同大学大学院理学研究科原子核理学専攻で学び、1964年に博士課程を修了して理学博士の学位を取得しています。

大学院修了後は、世界の主要な研究機関の一つである米国マサチューセッツ工科大学（MIT）の原子核研究所で助手として研究に従事しました。帰国後、東京大学に移り、理学部講師を務めた後、同大学原子核研究所の助教授に就任しました。東京大学では長年にわたり、高エネルギー物理学の分野で精力的に研究活動を進めました。1984年10月には同研究所の教授に昇任し、最先端の研究を推進するとともに、後進の研究者や学生の指導にあたりました。1996年に東京大学を定年退官し、名誉教授の称号を授与されています。

大学を退官した後も教育への情熱を持ち続け、1997年には学校法人読売理工学院の理事に就任するとともに、読売江東理工専門学校の校長を務めました。さらに、1998年6月からは読売東京理工専門学校の校長も兼務し、専門的な知識・技術を持つ人材の育成に力を注ぎました。

研究分野

本間氏の専門は、高エネルギー粒子加速器を用いた原子核・素粒子物理実験です。これは、高いエネルギーまで加速された粒子を原子核などに衝突させ、その相互作用や生成される新たな粒子を観測・分析することで、物質の基本的な成り立ちや宇宙の根源的な法則を探求する分野です。

主な著作・翻訳

本間氏は、専門である素粒子物理学や原子核物理学に関する多くの著書を執筆しました。一般向けの啓蒙書も多く、難解な科学の世界を分かりやすく解説することに貢献しました。主な単著には、『素粒子を光で見る』、『幻の素粒子』、『超光速粒子タキオン』、『物質の究極』、『素粒子の謎を追う』、『物質の究極は何だろうか』、『素粒子の世界』などがあります。

また、山田作衛氏との共著で『電気の謎をさぐる』を出版しています。さらに、ノーベル物理学賞受賞者であるスティーブン・ワインバーグの『電子と原子核の発見』や、シェルダン・L.グラショウの著作を翻訳するなど、海外の重要な科学書を日本に紹介する役割も果たしました。

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