本間俊平

本間俊平（ほんま しゅんぺい）

本間俊平は、1873年に新潟県で生まれ、1948年に亡くなるまでの間、社会事業や教育に多大な功績を残した日本の信徒伝道者である。彼は特に、不良少年を含む青少年の育成に尽力し、その生涯を通じて人々に感化を与えたことから「秋吉台の聖者」として知られている。また、山口県の大理石産業の創始者の一人としても評価されている。

生涯の歩み

本間は新潟県西蒲原郡で誕生し、家庭の貧困から成長に困難を抱えた。小学校では校長から特に可愛がられ、助手として働くことで家計を助ける道を選ぶが、中等科を途中で退学せざるを得なかった。在学中に工匠としての道に進み、1887年には福島で大工の弟子となる。

彼の人生に転機が訪れるのは1891年、松島でのキリスト教の講演を聞いたときである。その感銘を受けて聖書に親しみ、仙台の教会に通うようになる。その後、北海道の庁に勤務するが、同僚からの中傷により失職。途方に暮れて青森から東京まで徒歩で移動する。

本間は東京の大倉土木組で働き、日清戦争での兵倉設営のために渡韓し、帰国後には両親の訃報を受けて悲しみに暮れた。1896年には遠藤孫一の娘と結婚し、彼の信仰はさらに深まった。

教会活動と大理石事業

1897年、本間は24歳で洗礼を受け、キリスト教徒としての道を歩むことが決定的となった。1900年には東宮御所の造営局での職を得て、1902年には大理石の調査のために山口県を訪れた。この訪問で大理石の採掘を志し、大理石採掘所を開設。若者や社会的に恵まれない人々と共同生活を送り、彼らに働く場と希望を提供した。

困難や破産を乗り越えながら、次第に広がった彼の事業は、芝浦製作所からの発注を受けるまでに成長し、東京や朝鮮へも供給を行うようになった。彼が築いた大理石産業の礎は、現在の美祢市における主要な産業の一つとなっている。

社会貢献と教育

本間はただの事業家ではなく、講演や執筆活動を通じて多くの教育者や社会運動とも関わりを持っていた。特に彼の教育観は、「本物の教育を施せば必ず人はついてくる」という信念に基づいており、この言葉は彼の活動の原動力となった。彼は内村鑑三とも親交があり、彼の娘の墓石に自らの大理石を贈るなど、深い人間性を持った人物でもあった。

後に玉川学園や成城学園など、優れた教育機関の設立に貢献し、その影響は今も色濃く残っている。彼の理念は教育界においても高く評価され、彼の教えを受けた多くの人々がその恩恵を受けている。

最期の時

本間は1948年に74歳で帰郷し、生涯を終えた。彼の遺志は、今なお多くの人々の心に生き続け、「秋吉台の聖者」の名で尊敬されている。彼の足跡は、次世代への教育や社会への貢献の重要性を問いかけるものであり、その影響は現在にも強く残っている。

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