朽木の灯

ムックの4thアルバム『朽木の灯』は、2004年9月に発表されました。このアルバムは、人間の内面にある葛藤や苦悩を深く掘り下げた作品として、ムックの音楽性を特徴づける重要な一枚です。初回盤には、それぞれ異なる内容が収録された2種類のトレーディングDVDがランダムで付属するという特典がありました。

アルバムは、インスト曲である表題曲「朽木の灯」で幕を開けます。この楽曲は、アルバム全体の雰囲気を象徴するような、静かで内省的な旋律が特徴です。続く「誰も居ない家」は、逹瑯の幼少期の記憶を歌ったもので、個人的な感情が色濃く反映されています。

「遺書」は、虐めによる自殺をテーマにした衝撃的な楽曲です。この曲では、メジャーシーンでの音楽活動に対するバンド自身の葛藤も表現されています。また、「未完の絵画」「濁空」「幻燈讃歌」といった楽曲も、人間の心の闇や葛藤を描いた、深みのある歌詞とサウンドが印象的です。

「暁闇」は、YUKKEが作曲を手掛けた楽曲で、逹瑯が作詞を担当しています。また、インスト曲「2.07」は、演奏時間が2分7秒であることから名付けられました。「ガロ」「悲シミノ果テ」といった楽曲も、ムックならではの世界観が表現されています。

4thシングルである「路地裏 僕と君へ」は、メジャーでの活動におけるバンドの方向性を問いかける作品です。「溺れる魚」は、逹瑯が作詞作曲を手掛けた楽曲で、人間の脆さや弱さを表現しています。「名も無き夢」は、未来への希望と不安が入り混じったような歌詞が印象的です。

5thシングル「モノクロの景色」は、後に『殺シノ調べII This is NOT Greatest Hits』で再録されました。そして、アルバムの最後を飾るのが、11分にも及ぶ大作「朽木の塔」です。この曲は、『是空』に収録された「茫然自失」からの流れを汲むもので、壮大なスケールと深遠なテーマが特徴です。ライブでは、2006年の武道館公演を最後に封印されていましたが、2017年の20周年記念武道館公演で約11年ぶりに演奏され、ミヤによって「浄化された」と語られています。

「暁闇」はシドによって、「溺れる魚」はgibkiy gibkiy gibkiyによって、それぞれトリビュートアルバム『TRIBUTE OF MUCC -縁[en]-』でカバーされています。

『朽木の灯』は、ムックの音楽性を深く理解するための重要な作品であり、彼らの表現する人間の感情の複雑さ、社会に対するメッセージを感じ取ることができるでしょう。

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