杉山二郎

杉山 二郎 (すぎやま じろう)

杉山二郎（1928年9月14日 - 2011年11月30日）は、日本における重要な美術史学者で、その研究は主に東洋の古代美術および文化交流の歴史に焦点を当てています。彼は東京府で生まれ、1954年に東京大学文学部の美学美術史学科を卒業しました。その後、奈良国立文化財研究所の美術工藝室での勤務を経て、1960年には東京国立博物館の学芸部に就職し、特に東洋考古室長として活動しました。

杉山は、シルクロードに関する現地調査にも参加し、西アジアの古代美術や東西文化交流史に関する知見を深めました。彼の業績は1970年代から1980年代にかけて特に顕著であり、1988年には長岡技術科学大学工学部の教授に就任しつつ、1991年からは佛教大学文学部、さらに1996年からは国際仏教学大学院大学で教授職を務めました。2002年には退任を迎えます。

彼の学術的な成果は数多くの賞に表れ、特に1969年には著書『大仏建立』により毎日出版文化賞を受賞しました。この著作は、日本の仏教美術における重要な転機を描写しており、彼の学問における意義を強調しています。彼は、死去するまでに80冊以上の著書を執筆し、一般読者から学術界に至るまで広く影響を与えました。

主な著書

杉山二郎の著書には以下のようなものがあります：

• - 『大仏建立』（1968年、新版1986年）
• - 『鑑真』（1971年）
• - 『木下杢太郎』（1974年、新版1978年）
• - 『正倉院 流沙と潮の香の秘密をさぐる』（1975年、増訂版1980年）
• - 『オリエント考古美術誌 中東文化と日本』（1981年）
• - 『仏教文化の回廊』（1998年）
• - 『善光寺建立の謎』（2006年）
• - 『仏像が来た道』（2010年）

また、彼はさまざまな分野の共編著や翻訳も手がけており、特に「批評日本史」シリーズや「グランド世界美術」への寄稿が知られています。彼の作品は、日本の文化や美術の理解に貢献するものであり、未来の研究者たちにとっても貴重な資料となっています。

最後の年

杉山二郎は、2011年11月30日に膵臓がんにより惜しまれながら83歳で亡くなりました。彼の死は、日本の美術史研究において大きな損失であり、彼の貢献は今後も広く評価され続けることでしょう。彼の研究を通じて得られた知識と見識は、次世代の研究者や学生たちに受け継がれていくに違いありません。

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