李作鵬

李作鵬（1914年4月24日 - 2009年1月3日）は、中華人民共和国の著名な軍人であり、中国人民解放軍の将軍として活躍しました。彼は江西省吉安市で生を受け、激動の中国現代史を軍人として歩みました。

彼の軍歴は、1930年に中国共産党率いる赤軍に投じたことから始まりました。以後、彼は一貫して軍隊内で勤務し、日中戦争や国共内戦といった歴史的な戦いを経験しながら、その地位を固めていきました。長年にわたる軍隊での経験は、彼の後のキャリアの基盤となります。

文化大革命という未曽有の政治動乱期において、李作鵬は急速にその影響力を拡大させました。海軍の政治委員という要職に就いたほか、中国人民解放軍の副総参謀長も兼任し、軍の最高指導部の一員となりました。さらに、中国共産党中央軍事委員会の弁事組メンバーとしても活動し、軍の政策決定において重要な役割を担いました。これらの地位は、当時の彼が党と軍の階層構造の中でいかに重要な位置を占めていたかを物語っています。

1969年に開催された中国共産党第9期中央委員会第1回全体会議において、李作鵬は中央委員に選ばれるとともに、政治局委員に任命され、党の最高意思決定機関の一員となりました。彼は、当時の有力者であった林彪元帥に近く、「林彪派四大金剛」と称された主要な側近の一人として知られており、林彪の権力基盤を支える上で中心的な役割を果たしていたとされています。

しかし、権力の絶頂にあった彼の運命は、1971年9月に発生した林彪事件によって一変します。林彪の失脚とその後の混乱の中で、李作鵬は林彪の逃亡を幇助したなどとして事件に関与したと見なされ、全ての役職から解任され、その政治生命は断たれました。その数年後、1981年に北京で開かれた、いわゆる林彪・四人組裁判において、反革命集団の一員であるとの罪に問われ、懲役17年の有罪判決を受けました。これは、文化大革命期の権力闘争の結末を示す象徴的な出来事の一つでした。

裁判で判決を受けた同年、健康上の理由から刑務所を離れ、保釈という形で出所しました。彼はまず山西省の太原市で軟禁に近い状態で生活を送りました。晩年になってからは、北京への帰還が許され、比較的平穏な日々を過ごしました。この時期に、彼は自身の軍歴や政治経験に関する回想録を執筆し、その内容は彼の死後に出版され、歴史研究の貴重な資料となっています。李作鵬の生涯は、中国の現代史、特に建国初期から文化大革命、そしてその後の政治的混乱期を生きた一軍人の視点を提供しています。

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