李垠

李垠の生涯とその影響

李 垠（り ぎん、1897年10月20日 - 1970年5月1日）は、大韓帝国の最後の皇太子です。彼は朝鮮の王族として、日本の統治のもとで複雑な運命をたどりました。李垠は、初代大韓帝国皇帝である高宗の七男で、母は純献皇貴妃嚴氏です。彼は1907年に皇太子として冊立され、後に王位を継承しました。彼の称号は「昌徳宮李王垠」とされ、彼の生涯は大韓帝国と日本の歴史に深く関わっていました。

幼少期と教育

李垠は李氏朝鮮が大韓帝国と改称された年に生まれ、厳重な皇族教育を受けながら成長しました。彼は1907年、異母兄の即位後に皇太子としての役割を担うことになりました。その後、日韓併合によって日本の王族に準じる存在となり、王世子としての地位を確立します。彼は1908年に学習院に入学し、日本の教育を受けながら多くの人々に親しまれました。特に、彼は教育者伊藤博文に期待され、親日的な韓国の君主として育てられるよう努められました。

軍人としてのキャリア

1911年、李垠は日本陸軍の陸軍中央幼年学校に編入し、器械体操や武道に秀でた才能を発揮しました。軍事教育の後、1915年に士官学校を卒業し、陸軍将校として活動を始めました。彼の軍人としてのキャリアは順調で、華々しい評判を得ており、1938年には陸軍少将となり、北支那方面軍司令部に配属されることになります。

家族と結婚

李垠は1920年に梨本宮の方子女王と結婚しました。しかし、彼の結婚は時折緊張をもたらし、結婚式の際には暗殺未遂事件が発生するなど、波乱に満ちたものでした。夫妻は二人の息子をもうけましたが、長男の李晋は生後8ヶ月で急死。李垠は名家出身の方子女王とともに、皇族の中での位置を維持する努力を続け、模範的な皇族を目指しました。

戦後の混乱

第二次世界大戦日本の敗北後、李垠は在住していた日本での彼の立場を失い、不安定な状況に置かれました。1947年には王族としての地位を喪失し、さらには外国人扱いとなりました。彼の生活は厳しく、財産を失うことになり、日本政府からの支援もなく、経済的困難に直面します。彼は1952年に正式に日本国籍を喪失しましたが、大韓民国政府は彼を受け入れず、帰国も許されませんでした。

韓国への帰還と晩年

1959年、李垠は脳血栓で倒れ、健康状態が悪化したため再度日本に戻ります。その後、1962年には韓国政府から国籍の回復を認められ、1963年に韓国に帰国しました。彼が帰国する際は、多くの人々から熱烈に迎えられましたが、健康は思わしくなく、病床で暮らすことになります。そして1970年、金婚式の3日後に息を引き取り、韓国皇太子としての葬儀が行われました。

結論

李垠の人生は、大韓帝国の崩壊と日本の支配下での葛藤の象徴と言えます。彼の政治的影響や、波乱に満ちた個人的な歴史は、韓国と日本の歴史に刻まれることとなりました。

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