李延禧

李延禧について

李延禧（りえんき、1883年7月12日 - 1959年9月8日）は、日本の統治時代の台湾において重要な金融界の人物でした。彼は台湾総督府の評議員、新高銀行の頭取、そして日台合作による大成火災海上保険株式会社の創設者としてその名を馳せました。台湾の経済発展と日本との関係構築に貢献した彼の生涯を振り返ります。

生い立ちと若年期

李延禧は、1883年に台北大稻埕で生まれました。彼の祖父、李春生は「台湾烏龍茶の父」と呼ばれ、茶産業で成功をおさめた商人でした。李延禧の父も同様に商業に関わり、高い評価を受けていました。彼の家族は台湾の歴史の転換期に活躍しており、祖父は明治天皇から旭日章を授与されました。そんな家族のもとで育った李延禧は、当時の台湾社会における教育の重要性を認識し、留学を決意します。

アメリカ留学

14歳で李延禧は祖父と一緒に日本へ渡り、明治学院で学びました。彼は1905年に明治学院を卒業し、その後、台湾初の留学生としてアメリカ・ニューヨーク大学に入学。1910年に商科学士を取得した後、コロンビア大学で更なる研究を続けます。アメリカでの経験は彼の視野を広げ、その後の金融業界での成功に大きな影響を与えました。

新高銀行の設立

帰台後、1915年に李延禧は父親の助けを受けて新高銀行を設立しました。この銀行は茶葉業者への融資を主な目的とし、急速に成長しました。資本金も次第に増え、業務領域も広がりました。しかし、第一次世界大戦の終息後、経済が悪化し、新高銀行は負債に直面。最終的に台湾商工銀行に吸収されることになります。

大成火災海上保険の設立

1919年、李延禧は親友と共に大成火災海上保険株式会社の設立に尽力し、資金を集めました。資本金は500万円に達し、当時の名士たちも参加しました。李延禧は設立後、父を社長として迎え、自らは取締役となります。この会社の立ち上げは、彼の経歴において重要な転換点となりました。

東京への移住

1924年、祖父の死を機に、李延禧は台湾商工銀行の副頭取を辞し、東京に移住しました。ここで彼は、当時の日本の名門との結婚を果たし、渋谷に住居を構えました。在日台湾留学生との関わりを深め、講演などを通じて彼らを支援し続けました。

戦後の活動

1945年、李延禧は第二次世界大戦を経て、台湾工商銀行における初代常任監察役を歴任します。しかし、二・二八事件を経て台湾の政局に失望し、再び東京に戻ります。1950年には政権から弾圧を受け、多くの財産を失いました。その後、病気に苦しむ日々を送り、1959年に76歳でその生涯を閉じました。

結論

李延禧の生涯は、台湾と日本の架け橋となるべく尽力した一人の商人の物語です。彼の業績は台湾の金融界に大きな影響を与え、今もなおその影響は感じられます。

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