李闊

李闊の生涯

李闊（リ・ファル）は、北朝鮮の軍人であり、朝鮮人民軍空軍の創設者の一人です。本名は李学念で、平安北道の塩州郡にある裕福な家庭に生まれました。彼の軍事的キャリアは、東京高等工業学校や名古屋の民間飛行学校での学びから始まり、そこで得た知識と技術を活かして日本の読売新聞社の専属パイロットとして活躍したとされています。ただし、彼が実際には日本陸軍または海軍に所属していた可能性もあるため、その詳細は不明です。

1945年の日本の敗戦後、李闊は朝鮮半島北部の新義州に戻り、新義州航空隊を設立しました。この組織は後に新義州航空協会と改称され、同年12月には金日成が会長を務める朝鮮航空協会の副会長に就任しました。これが彼の軍事キャリアの新たなスタートとなり、1947年に軍組織としての航空隊が創設され、1948年には人民軍第25飛行連隊が編成されました。この連隊は翌年には第11飛行師団へと改編され、李闊は副師団長に任命されました。

朝鮮戦争中、李闊は飛行師団長として戦場に赴き、その後1949年には新たに発足した航空司令部の副司令官に就任します。この戦いの中で彼は共和国英雄の称号を受け取り、その名声は一時的に高まりました。しかし、その後の1954年には民族における有産階級出身の者として批判を受け、翌年には航空副司令官を解任されました。

その後、李闊は金日成軍事総合大学で航空講座の長として再配置されることになります。1959年には軍籍や労働党籍を剥奪され、農場の作業員へと転落しますが、1968年には金日成に再度呼び出され、復党を果たします。これにより電力工業分野の企業で職を与えられることになりました。これらの浮き沈みを経た李闊の人生は、北朝鮮の政治状況とも深く関わっていました。

最晩年の彼は1987年から祖国解放戦争勝利記念館で講師として活動し、1988年には人民軍中将の軍事称号を受けました。李闊をモデルにした映画『赤い翼』も製作され、彼の影響力は文化面にも及びました。彼は2007年に89歳でこの世を去り、同年7月には金正日がその霊前に花輪を送って彼の死を悼みました。自身の波瀾万丈の生涯を持つ李闊は、朝鮮の軍事史の中で重要な存在となりました。

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