李雲

李雲（り うん）

李雲は、中国の古典小説『水滸伝』に登場する重要なキャラクターであり、梁山泊の第九十七位の好漢です。彼は地察星の生まれ変わりであり、長身で堂々とした風貌を持つことで知られています。その容姿は西蕃人を思わせるようで、特に赤い髭と青い瞳が目を引きます。このため、彼は「青眼虎」という渾名でも呼ばれています。李雲は沂水県で警備隊長を務め、当時は朱富の槍棒の師匠でした。彼は三十人や五十人の兵士に束になられても敵わない武芸の達人であり、梁山泊では主に家屋の修繕を担当していました。性格は真面目であり、酒を好まない下戸でもありました。

生涯の概要

李雲は沂水県での都頭として勤務していましたが、ある日、彼には思わぬ出来事が待ち受けていました。江州で刑場破りをした梁山泊の盗賊、李逵の逮捕に関する知らせが入り、彼は配下の者たちを伴い、李逵の身柄を引き取りに向かいます。早朝には州府へ護送する計画が立てられていましたが、山の中で朱富という居酒屋の主が酒と肉を差し入れてきました。李雲は下戸でありながらも、朱富の勧めで酒を二口、肉を二切れほど口にしました。

ところが、その酒と肉には痺れ薬が仕込まれており、李雲と彼の配下は一瞬にして意識を失ってしまいます。目を覚ました時、李逵や朱兄弟の姿は消えており、配下の者たちも全員が殺されるという惨事が待ち受けていました。この失態をどうにかして知事に報告しなければならないと感じた李雲は、急いで李逵らの捜索を開始しました。彼はほどなくして李逵を見つけ、武器を持って戦いますが、戦闘の途中で朱富が仲裁に入り、誠心誠意の謝罪と言い訳をしてきます。

梁山泊への参加

朱富の説得を受けた李雲は、責任を全うするために梁山泊への参加を決意します。梁山泊に入山すると、彼はなぜか家屋や庁舎の建設や修理を行う裏方の責任者として任命されました。彼には戦闘の機会がほとんど与えられず、むしろ必要な物資の調達や行方不明者の捜索など多忙な裏方仕事に携わることが多かったのです。しかし、呼延灼との戦いでは鉤鎌鎗部隊として出陣し、一瞬の武功を挙げる機会を得ることができました。

百八星が集結した後も、李雲は引き続き修繕作業に従事していました。彼は官軍との戦闘で水夫に変装して敵地に潜入し、敵将の葉春と王瑾を討つ功績を挙げます。官軍への帰順後は、陶宗旺や湯隆と共に大型攻城兵器の製作を担当し、城攻めにおいてその威力を示しましたが、武芸の腕前を発揮する場面には恵まれずに終わります。

最期

彼の運命は悲劇的でした。方臘との戦いにおいて、李雲は敵将王寅を捕らえようとしましたが、王寅の持つ名馬・転山飛の馬蹄に踏まれ、命を落としてしまうという最期を迎えました。李雲の一生は、武闘の栄光の陰に常に影が付きまとっていましたが、彼が果たした役割は梁山泊の仲間たちにとって重要なものでありました。

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