村上光鵄

村上 光鵄（むらかみ こうし）氏は、1940年に生まれ、日本の法学界および実務界で多大な貢献を果たしている法学者、元裁判官、そして弁護士です。長年にわたり裁判官として要職を歴任し、退官後も法科大学院での教育や弁護士活動を通じて、法曹界の発展に尽力しています。

その学歴は、1958年に福井県立乾徳高校（現在の福井県立福井商業高等学校）を卒業後、京都大学法学部で研鑽を積み、1963年に卒業しました。さらに、京都大学大学院法学研究科修士課程に進み、1965年に法学修士の学位を取得しています。深い学識を背景に、法曹としての道を歩み始めました。

1965年、第19期司法修習生として司法研修所に入所し、法曹実務の基礎を習得しました。1967年には東京地方裁判所の判事補に任官。裁判官としてのキャリアをスタートさせました。その後、裁判所書記官研修所（現在の裁判所職員総合研修所）の教官として後進の指導にあたる一方、裁判所事務官採用試験の委員も務めました。

1979年からは再び司法研修所の教官となり、司法修習生考試委員も兼任。若手法曹の育成に情熱を注ぎました。1983年には東京地方裁判所の判事に昇任。裁判実務の経験を深めました。1984年には最高裁判所刑事局に配属され、第2課長を務めます。さらに、簡易裁判所判事採用試験委員や最高裁判所刑事規則制定諮問委員会の幹事なども兼任し、司法制度の運営や改革に深く関与しました。1986年には、より中心的な役割を担う最高裁判所刑事局第1課長および第3課長を兼務するなど、刑事司法分野において重要な役割を果たしました。

最高裁判所勤務を経て、1988年には東京地方裁判所の部総括判事として現場に戻り、多数の裁判を指揮しました。1989年からは再度司法研修所の教官、1993年からは上席教官として、再び法曹教育の最前線に立ちました。1997年には佐賀地方裁判所・家庭裁判所の所長に就任し、地方における司法の責任者としての重責を担いました。そして、1999年には東京高等裁判所の部総括判事となり、さらに東京高等裁判所長官代行という要職を兼務するなど、高裁での裁判実務および庁舎運営において中心的な役割を果たしました。

2005年に裁判官を退官後も、その豊富な経験と知識を活かして多方面で活躍しています。同年、京都大学大学院法学研究科の教授に就任し、後進の指導にあたるとともに、弁護士登録を行い、TMI総合法律事務所の客員弁護士としても実務に復帰しました。2008年には横浜国立大学大学院国際社会科学研究科の客員教授を務め、教育活動の幅を広げました。現在は、2009年から大東文化大学大学院法務研究科（法科大学院）の特任教授として、次世代の法曹育成に情熱を傾けています。

法曹としての活動に加え、社会的な活動も積極的に行っており、司法試験の第二次試験考査委員（刑法、憲法担当）を複数回務めるなど、法曹養成制度にも貢献しています。また、日本弁護士連合会の懲戒委員や法曹会の理事を務めたほか、日本商事仲裁協会の商事仲裁人としても紛争解決に関わっています。さらに、ミネベア株式会社の社外取締役および独立委員会委員を務めるなど、企業のガバナンス強化にもその識見を提供しています。

主な著書としては、『大コンメンタール刑法（第二版）』（青林書院、1999年）があり、刑事法の研究者および実務家としての業績を示しています。

また、ご家族としては、娘の村上真理子氏がフジテレビの報道記者として活躍されています。

村上氏は、裁判官として公平な立場で多くの事件に向き合い、最高裁や司法研修所では制度設計や人材育成に携わりました。退官後も教育者、弁護士、社外役員など、その活動は多岐にわたり、日本の法曹界および社会に貢献し続けています。

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