村上春樹にご用心

村上春樹にご用心

内田樹著『村上春樹にご用心』は、単なる文芸評論やエッセイにとどまらず、村上春樹現象を深く掘り下げた一冊です。本書は、村上春樹に対する賛否両論の評価、特に一部批評家からの強い反発に着目し、その理由を多角的に考察しています。

書籍の概要

本書には、以下の3つのバージョンが存在し、それぞれ内容が異なります。

1. 『村上春樹にご用心』（アルテスパブリッシング、2007年）
2. 『もういちど村上春樹にご用心』（アルテスパブリッシング、2010年）
3. 『もういちど村上春樹にご用心』（文春文庫、2014年）

著者の内田樹氏は、長年にわたり抱いてきた「なぜ村上春樹は、特定の批評家からこれほどまでに嫌われるのか？」という疑問を解き明かすべく、本書を執筆しました。また、村上作品を全面的に肯定する内容も特徴的であり、既存の村上春樹論とは一線を画しています。タイトルは、大滝詠一の楽曲「あの娘に御用心」からインスピレーションを得ています。

特筆すべき点

最初の単行本のカバーイラストは、イラストレーターのフジモトマサル氏が担当しました。フジモト氏は後に、村上春樹の期間限定サイト「村上さんのところ」のイラストも手掛けています。
本書に収録されている文章の多くは、内田樹氏のブログ「内田樹の研究室」に掲載されたものです。ブログ記事が書籍化されるという、現代的な出版形態も注目に値します。
中国語（簡体字版、繁体字版）と韓国語にも翻訳されており、海外でも広く読まれています。
版元のアルテスパブリッシングは、2007年4月に設立された新しい出版社であり、『村上春樹にご用心』は同社が最初に出版した書籍の一つです。

関連情報

関連項目:
街場の文体論：内田樹氏の別の著作。

本書は、村上春樹の作品世界をより深く理解するための必読書であるとともに、現代社会における文学のあり方、批評の役割について再考するきっかけを与えてくれるでしょう。

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