村崎恭子

村崎恭子のアイヌ語研究の軌跡

村崎恭子（むらさき きょうこ、1937年生まれ）は、樺太アイヌ語の研究において重要な役割を果たしてきた言語学者です。横浜国立大学の名誉教授であり、彼女の研究はアイヌ文化と言語の保存、再評価に寄与しています。彼女の経歴を辿ることで、アイヌ語研究の中での重要な転機や発見を知ることができます。

来歴

村崎は1937年、台湾で誕生しました。彼女は東京外国語大学でモンゴル語を専門に学びましたが、その後、東京大学に進学し、アイヌ語辞典の編纂プロジェクトに参加する機会を得ました。この経験が彼女のアイヌ語研究への道を開くこととなりました。

1960年代初頭、村崎は北海道において千島アイヌ語に関する調査を行いましたが、残念ながら当時の調査結果では、その言語の話者がすでに存在しないことが確認されました。この研究結果は、彼女が1963年に発表した「民族学研究」において広く知られることとなり、アイヌ語が事実上死語となった状況を明らかにしました。

学問的成果と受賞歴

村崎は、1964年に東京大学大学院を修了し、その後は東京言語研究所や北海道大学、横浜国立大学で教鞭を執ることとなります。彼女の業績は、アイヌ語を中心とした言語学研究において数々の表彰を受けました。特に1977年には、金田一京助博士記念賞を受賞するなど、彼女の研究が広く評価されています。

著作と研究成果

村崎恭子は多くの著作を残しており、その一部はデジタル化され、国立国会図書館デジタルコレクションなどでアクセス可能です。主な著作としては、1973年に共著した「一般言語学」や、1976年に出版された「カラフトアイヌ語」があります。

彼女の著作は、アイヌ語に対する深い理解を提供するだけでなく、言語の保存や再生の可能性についても考察しています。また、アイヌ文化における民話や伝承に関連する作品や文章も多く、村崎の研究がアイヌ文化の活動再生に繋がることを目指しています。

近年の活動

村崎は、アイヌ語を用いた地名研究や言語教育に関する連載を行い、最近では樺太アイヌ語に関するオンラインの学習リソースを構築する取り組みも行っています。特に、彼女のもとで学んだ学生たちによって作成されたウェブサイト「樺太アイヌ語プロジェクトsimma」は、アイヌ語の学習を促進する存在となっています。

結論

村崎恭子の業績は、アイヌ語及びアイヌ文化に対する理解を深め、それを保存するための貴重な資料を提供しています。彼女の研究は、言語の消失を防ぐための意義ある取り組みであり、今後もその影響は続くことでしょう。

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