村田元 (益子焼の陶芸家)

村田元 - 益子焼の陶芸家

村田元（むらた げん、本名「悥」）は1904年に石川県で生まれ、1988年に逝去した日本の陶芸家です。主に益子焼で知られ、その作品は日本の伝統的な陶器文化に重要な影響を与えました。彼の生涯や作品について詳しく見ていきましょう。

生い立ち

村田元は、河北郡浅川村の豪農の次男として誕生しました。幼少期に両親が離婚し、母方の祖母に引き取られて育ちました。この早期の家庭内での変化は、彼のその後の人生に大きな影響を与えたと言われています。

絵画の道を求めて

1917年、彼は京都の中学校に入学しますが、画家になる夢を追い求めた結果、学校を退学しました。その後、日本画家の家に住み込みながら絵画を学ぶことになりますが、洋画を学びたいという彼の希望とはかけ離れた仕事に満足できず、1922年には新聞配達員として自活を始めました。

関西美術院に入学し、洋画を学ぶ一方で、政治的な活動に関与し、共産主義者同盟の一員としても知られるようになりました。1930年には「プロレタリア美術大展覧会」での出展を果たしました。

益子焼との出会い

1934年に「現代日本民窯展」で益子焼を知ると、その魅力に惹かれ、1944年には陶芸の道に進むことを決意します。彼は濱田庄司のもとで陶芸を学び、益子に転居しました。いくつもの苦労を重ねながらも、彼は陶芸に対する情熱を燃やし続けました。

陶芸家としての成長

陶芸の修行中、村田元はさまざまな技術を身につけました。特に、バーナード・リーチからは独特のピッチャーやフラワーベースの作り方を学び、その技術は彼の作風に大きな影響を与えました。1954年には、ようやく自らの本焼き用の登窯を築くことができ、彼の作品は多くの展覧会で評価されるようになります。

益子焼の発展と伝承

村田元は、素材である土と伝統にこだわり続け、自らのスタイルを確立していきます。彼の教えの一つである「面白いものを作る」という考え方は、彼の作品に色濃く反映されています。村田は絵付けはせず、自然の釉薬を用いて作品を仕上げ、日本の陶芸の美の本質を追求しました。

最後の時

村田元は1984年に栃木県文化功労者として表彰され、その業績を称えられました。1988年、肺炎により83歳でこの世を去りました。しかし彼の作品や哲学は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

彼の三男である村田浩も益子焼の陶芸家として名を馳せ、父の技術を受け継いでいます。村田元の足跡は、日本の陶芸界に大きな影響を与え、益子焼の発展に貢献したことは間違いありません。彼の作品は、単なる民芸品を超え、深い文化的価値を持つものとして評価されています。

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