村野浄水場

村野浄水場：日本の水道技術を代表する巨大浄水施設

大阪府枚方市村野高見台に位置する村野浄水場は、大阪広域水道企業団が運営する日本最大級の浄水場です。その規模は阪神甲子園球場の約8.2倍に相当し、1日に約104万m3もの水道水を供給する能力を持っています。これは25mプール約2,900杯分に相当する膨大な量です。

特徴

階層系浄水施設

村野浄水場の最大の特徴は、世界的にも珍しい立体式の階層系浄水施設です。都市化の進展に伴う水需要の増加に対応するため、限られた敷地を有効活用する目的で建設されました。地上7階、地下2階の巨大な構造物で、60以上の水槽が配置され、常に5万m3以上の水が流れています。耐震性にも配慮されており、京都大学との共同研究による振動実験を経て、構造設計に反映されています。

高度浄水処理

1994年から一部施設で、1998年からは全施設でオゾン・粒状活性炭を使った高度浄水処理が導入されています。これにより、高度な水質管理を実現し、より安全でおいしい水を供給することが可能になりました。

省エネ設備

村野浄水場では、環境負荷を低減するための様々な省エネ設備が導入されています。

水位差発電設備: 階層系浄水施設内の水位差を利用した小型水力発電機が設置されています。
太陽光発電設備: 沈澱池の覆蓋を兼ねた太陽光発電パネルが設置され、藻類の発生抑制と発電を両立しています。
* 天然ガスコージェネレーションシステム: 浄水処理過程で発生する土を、ガスタービン発電機の排熱で乾燥させるシステムがありました（現在は撤去済）。

これらの取り組みが評価され、「新エネ百選」や環境大臣表彰など、数々の賞を受賞しています。

コイセンサー

磯島取水場では、原水の水質監視にコイを活用した「コイセンサー」が導入されています。コイの行動を監視し、異常があれば警報を出す仕組みで、水質変化を早期に検知することができます。

水源と供給

村野浄水場の原水は、淀川の表流水を磯島取水場から取水しています。大阪広域水道企業団は、大阪市を除く大阪府内の42市町村に水道水を供給しており、そのうちの約4分の3が村野浄水場からの供給です。

エピソード

村野浄水場は、地域住民との交流も大切にしています。過去には高度浄水処理水全量通水イベントが開催され、一般開放や盆踊り大会などが行われました。また、テレビ番組のロケ地としても使用されるなど、多方面から注目を集めています。

まとめ

村野浄水場は、高度な技術と環境への配慮が融合した、日本の水道技術を代表する施設です。その安定した水供給は、大阪府民の生活を支える上で欠かせない存在となっています。

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