東上高志

東上高志

東上高志（1930年1月27日 - ）は、日本の教育学者であり、同和教育および部落問題研究の分野で多大な貢献をしました。部落問題研究所の常務理事、どの子も伸びる研究会の代表幹事を歴任し、教育における差別問題の解決と人権教育の推進に尽力しました。

生い立ちと教育

東上高志は京都府竹野郡網野町（現在の京丹後市）で生まれました。1949年に京都師範学校を卒業後、中学校と小学校で教員として4年間勤務しました。教員生活を通じて教育現場の課題を肌で感じ、後の研究活動へと繋げていきました。

部落問題研究所での活動

1953年、東上高志は部落問題研究所に入所し、助手として研究活動を開始しました。1962年には常務理事に就任し、研究所の運営と研究を主導しました。1958年には立命館大学文学研究科日本史専攻修士課程を修了し、学術的な知識も深めました。また、在学中に日本共産党に入党し、社会運動にも関わりました。

研究と著作

東上高志は、同和教育に関する多数の著書を執筆しました。1964年には『同和教育入門』で毎日出版文化賞を受賞し、その研究が高く評価されました。著書を通じて、部落問題の現状や教育における差別問題の解決策を提示し、多くの教育関係者に影響を与えました。全20巻に及ぶ『東上高志同和教育著作集』（1992年、あざみの書房）は、彼の研究の集大成と言えるでしょう。

文化厚生会館事件とその後

1966年に発生した部落問題研究所と解放同盟京都府連との間の文化厚生会館事件では、井上清、藤谷俊雄らと共に、解放同盟との対決路線を主導しました。また、同時期に発表した「ルポ東北の部落」が部落解放同盟朝田派から差別記事とみなされ、激しい批判を受けました。講演や講義を妨害されることもありましたが、東上高志は自身の信念を曲げることなく、研究活動を続けました。

大学教授として

部落問題研究所での活動と並行して、東上高志は教育者としても活動しました。滋賀大学教育学部教授を1983年から1995年の定年退官まで務め、後進の育成に尽力しました。

主な著書

『教育への抗議』潮文社　1957
『差別 部落問題の手びき』1959　三一新書
『同和教育論』新評論　1960　現代教育論叢書
『差別はごめんだ』明治図書出版　1963
『同和教育入門 国民のための部落問題』汐文社　1964
『やさしい部落問題』部落問題研究所　1970
『戦後同和教育史』青木書店　1982
『東上高志同和教育著作集』全15巻 あゆみ出版・あざみの書房　1984-87
『「法」以後の同和教育を考える』部落問題研究所　1989
『川端分館の頃 激動期の部落問題と私』部落問題研究所　2004

まとめ

東上高志は、部落問題研究と同和教育の発展に大きく貢献した教育学者です。部落問題研究所での活動、大学での教育、そして数多くの著作を通じて、差別問題の解決と人権教育の推進に尽力しました。その業績は、今日の部落問題研究においても重要な礎となっています。

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