東世津子

東世津子の生涯と活動

東世津子（あずま せつこ）は、1930年1月8日に京都府京丹後市で生まれた郷土史家です。彼女は、戦争の影響を受けながらも、地域の歴史や文化を記録することに生涯を捧げてきました。

経歴

京丹後市丹後町の間人地区に生まれ育った世津子は、戦前の傘屋「清水傘店」に生まれ、家族の影響を受けて育ちました。14歳の時、舞鶴女学院に入学しましたが、太平洋戦争の影響で学校は休校となり、学生たちは軍服制作のために動員され、厳しい状況の中で作業を行う日々を送りました。時には作業に追われ、心身ともに過酷な体験をしました。

戦後、彼女は郵便局に勤める傍ら、青年団で夫となる東理代吉と出会います。夫が書店を開くことを決意した際、世津子はそれを支える形で地域の文化に深く関わるようになりました。1950年に開業した書店は、世津子と理代吉の努力により次第に発展し、家族を支えながら4人の子供を育てる場となります。

文化活動

世津子は、地域の歴史や文化を伝承することを生涯のライフワークとし、様々な活動を行ってきました。1996年には「丹後町いろはかるた」を作成し、これが後に書籍として出版されました。また、丹後町に関する調査を通じて、地域の婦人たちの生活や戦争体験を記録することにも力を入れました。これが後に『戦争中のくらし―たいざの女』として刊行されます。

出版物

世津子は多くの出版物を手掛け、それらはいずれも地域の文化や歴史に関連しています。代表的なものには『丹後のはた音』があり、これは丹後地域の絹織物業やその歴史を記録したものです。また、絵本『小脇の子安地蔵さん』では、小脇集落の伝説を通して地域の歴史を描いています。これらの作品は地域の人々に非常に感銘を与え、記録として貴重な資料となっています。

健康長寿の秘密

京丹後市は日本でも有数の長寿の地域として知られ、世津子と夫もその一例です。特に「まごわやさしい」という食事法を実践し、地元で栽培された食材を取り入れた健康法がその秘訣とされます。この食事法は、地域の風土に根差したものであり、京丹後市の人々に共通する健康的な生活スタイルを反映しています。

最後に

近年、世津子は地域医療教育の一環として講演を行い、若い世代にその経験や知識を伝える場を持っています。彼女の活動は京丹後市民にとって大きな支えであり、地域の歴史や文化を未来へとつなぐ大切な役割を果たしています。世津子の物語は、地元愛と文化への熱い思いから生まれた貴重な資料であり、彼女の尽力によって地域の歴史は生き続けています。

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