東亜問題調査会

東亜問題調査会

概要

東亜問題調査会は、日本の戦前に存在した研究機関であり、1933年の秋に朝日新聞社内に設立されました。この組織は、東京朝日新聞の主筆であった緒方竹虎の提案に基づき、満洲事変後のアジアの情勢を考慮して立ち上げられました。特に、満洲国を中心に、東アジア地域における政治、外交、経済、社会の様々な側面を調査研究することを目的としました。

1934年9月16日に正式に設立されたこの会は、朝日新聞社の社長直下に置かれた独立した機関として機能しました。調査活動は、在外の社員から集めた情報や資料をもとに、常に最新のデータを確保するために展開されました。そのため、東アジアに関連する問題についての専門家の意見や見解も積極的に取り入れられる体制が整えられました。

研究活動と構造

東亜問題調査会の初代会長には副社長の下村宏が就任しましたが、すぐに緒方竹虎に交代しました。東京朝日新聞の論説委員である大西斎が常任幹事に選出され、幹事には大阪朝日新聞の神尾茂が名を連ねました。これにより、スタッフは東京朝日新聞に集まり、研究活動が本格的にスタートしました。

定期的に開催される例会や、時事問題を扱う臨時会議を通じて、東アジアに関する調査資料として「朝日東亜年報」などの出版物が作られました。これにより、当時の国際情勢や地域の詳細な分析が行われ、新聞社における情報発信の一環として活用されました。

構想と困難

緒方竹虎のビジョンでは、陸軍や海軍、また満鉄などの大企業と連携し、東アジアの諸問題を徹底的に研究することが意図されていました。しかし、陸海軍は機密情報の漏洩を懸念し、必要な資料の提供を躊躇しました。また、大企業も軍部に対して言及を避けるようになり、研究活動が進むにつれその実行が難しくなっていきました。

結果として、東亜問題調査会は1940年に廃止され、その後には中央調査会がその役割を引き継ぐこととなりました。このように、組織の設立から廃止までの経緯は、当時の日本の国際的な関係や国内の政治的背景に深く関連していることがわかります。

役員構成

東亜問題調査会には、多様な専門知識を持った役員が揃っていました。会長は緒方竹虎であり、その他にも東京朝日新聞の論説委員である大西斎、幹事には吉田淳、太田宇之助らが名を連ねておりました。また、外務省、経済関係、陸軍など各界からのゲストも参加し、充実した研究環境を形成していました。

参考文献

本記事の情報は、馬場萬夫監修の『戦時下日本文化団体事典』や朝日新聞百年史の編修委員会編による社史など、いくつかの信頼できる資料をもとにまとめています。これにより、東亜問題調査会の使命と役割、そしてその歴史的意義を確認することができます。

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