東亜国内航空381便胴体着陸事故

東亜国内航空381便胴体着陸事故

1979年7月21日、羽田空港を離陸した東亜国内航空381便は、南紀白浜空港へ向かう途中、航空機に重大なトラブルが発生しました。この事故は、離陸後の車輪格納操作で左後輪が正常に格納されず、着陸時に片方の車輪だけで着地せざるを得ない状況に陥ったものです。

事故の経緯

381便は午前8時38分頃、羽田空港を離陸しました。離陸後、車輪を格納する操作を行った際、通常はすぐに消えるはずの車輪ライトが、左後輪だけわずかに遅れて消灯しました。この異変に気付いた機長は、念のため再度車輪を出す操作を試みましたが、左後輪は格納されたまま降りてきませんでした。

機長は直ちに羽田の管制塔に緊急事態を宣言しましたが、コックピットからは車輪の状態を確認することができませんでした。また、機器の故障である可能性も考慮し、より詳しい状況確認のため、付近を飛行していたDC-9型機に協力を要請し、旅客機としては異例の編隊飛行を実施しました。DC-9の操縦士が目視で確認した結果、左後輪の格納扉すら開いていないことが判明し、機長は羽田への緊急着陸を決断しました。

午前11時32分頃、381便は片方の車輪だけで着陸態勢に入りました。着陸自体はスムーズに行われましたが、速度が低下すると機体は左後方に大きく傾き、胴体を滑走路に激しく擦りながら滑走路を外れてオーバーランしました。しかし、幸いにも衝撃による火災は発生せず、乗員乗客全員が無事に救出されました。

なお、この便にはタレントの由美かおるさんが搭乗していたため、マスコミが羽田空港に大勢駆けつけ、一時騒然となりました。しかし、由美さんを含む乗員乗客全員が無事であったことが、不幸中の幸いでした。

事故原因

この事故の原因は、左後輪の格納扉を固定する機構部の不具合でした。整備の際に誤った組み立てが行われたことが原因で、車輪をロックする「アップロックフック」という部品が金属疲労により破損したことが判明しました。この部品の破損により、車輪を正常に格納、展開することができなくなったのです。

類似事故

過去には、同様の車輪トラブルによる胴体着陸事故がいくつか発生しています。

日本国内航空機帯広空港胴体着陸事故（1965年5月29日）
ジェットブルー航空292便緊急着陸事故（2005年9月21日）
スカンジナビア航空1209便胴体着陸事故（2007年9月9日）
スカンジナビア航空2748便胴体着陸事故（2007年9月12日）
* コンチネンタル航空3407便墜落事故（2009年2月12日）

これらの事故は、いずれも車輪のトラブルが原因で発生しており、航空機の整備と点検の重要性を改めて示す事例となっています。

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