東京の美少年

橋幸夫のシングル『東京の美少年』

『東京の美少年』は、1961年10月5日にビクターからリリースされた橋幸夫の13枚目のシングルです。この楽曲は、作詞を佐伯孝夫、作曲を吉田正が担当し、橋の音楽の両師匠による傑作となっています。この曲は大ヒットを記録した『南海の美少年』（1961年5月）の続編として位置づけられ、美少年シリーズの第2作目として知られています。

この曲は、橋幸夫自身が東京出身であるにもかかわらず、これまでの楽曲ではそのイメージがあまり感じられなかったことに注目し、初めて現代の東京を描いた作品という点でも注目されています。音楽評論家の小野善太郎は、「彼の東京に対するイメージを見事に表現した楽曲」としてこの作品を評価しています。

特に、この曲の歌詞には独自の魅力があり、橋も「舗道を『ペーブメン』、後姿を『うしろかげ』と読ませる佐伯文学の特徴が魅力的」とその魅力を語っています。橋は、佐伯が新しい表現に挑戦していることを高く評価し、歌詞自体が無限の想像を引き起こすような深いものとなっていると述べています。

また、この『東京の美少年』というタイトルは、当時の時代を反映しており、何かしらの美少年をテーマにした楽曲が流行していた時代を背景にしています。橋自身も「美少年」というキャッチフレーズが自身に定着していくことに対して照れくさい思いを抱いていたと言われています。

美少年シリーズの第三弾は、1962年8月に発表された『美少年忠臣蔵』であり、この作品は再び時代歌謡へと戻っています。サイドAには『故郷の灯は消えず』という楽曲も収録されています。この曲は、故郷を離れて都会で働く風景をしっとりと描写したホームソングとなっており、特に橋の母が奥多摩出身であったことから、故郷への思いが込められています。後にこの曲は、母の好きな唱歌『故郷』とともに新たな曲『わが胸に歌は消えず』としてアレンジされました。

『東京の美少年』は1961年に8万枚以上を売り上げ、ビクターの年間ヒット賞を受賞しました。その人気は、橋幸夫の魅力と共に多くの人々に愛され続けています。特に、LP盤での収録は多く、近年のCD版では徐々に収録されず、少しずつ忘れられていく存在となっています。

収録曲

• - 東京の美少年

作詞：佐伯孝夫、作・編曲：吉田正

• - 故郷の灯は消えず

作詞：佐伯孝夫、作・編曲：吉田正

アルバム収録情報

• - LP『橋幸夫傑作集第3集』(1961年)
• - LP『橋幸夫オールヒットメロディー第2集』(1962年)
• - LP『橋幸夫ゴールデンヒットアルバム第1集』(1965年)
• - CD-BOX『橋幸夫大全集』(1993年)
• - CD-BOX『橋幸夫のすべて』(2011年)
• - CD-BOX『橋幸夫ベスト100+カラオケ15』(2015年)

『東京の美少年』は、時代を越えた名曲として、橋幸夫の音楽の原点ともいえる作品で、多くのファンに親しまれ続けています。

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