東京サザエさん学会

東京サザエさん学会について

東京サザエさん学会は、長谷川町子が創作した人気漫画『サザエさん』を研究する団体です。この学会は1981年に設立され、東京都内に住む学者、編集者、学生など、作品を愛するファンの有志たちが集まりました。

会長には慶應義塾大学文学部の名誉教授、岩松研吉郎が就任し、彼の指導の下、この団体は活動を展開してきました。学会の略称「TSG」は、波平が参加していた「都下禿頭会」のローマ字綴り「TTK」に由来しています。また、メンバーのことを「イソニアン」と呼んでいます。

東京サザエさん学会は、先に設立されたイギリスの「シャーロック・ホームズ協会」に触発され、そのスタイルを模倣したものです。学会では主に漫画の原作に焦点を当てており、アニメ版は研究対象外とされています。

この団体は、1992年に飛鳥新社から出版した『磯野家の謎 - 「サザエさん」に隠された69の驚き』によって広く認知されることとなります。この書籍は200万部以上売れ、日本国内で『サザエさん』の再評価を促し、さらに続編となる『磯野家の謎・おかわり』も出版されました。このような出版活動は、都市における「謎本ブーム」の火付け役となり、多くの研究者やファンに影響を与えました。

しかし、こうした人気の一方で、『磯野家の謎』やその続編がギャグ的方向に走りすぎたとの批判もありました。特に、都市伝説に基づく最終回の解釈や、ヒロポンを用いた家族としての仮説などは物議を醸しました。こうした状況を受けて、ゆうむを代表とする「世田谷サザエさん研究会」が登場し、彼らは学会や『磯野家の謎』に対し厳しい批評を展開しました。この対立は1～2年続きましたが、結局は両者の論争も沈静化し、学会はその後も存続していることが確認されています。

学会活動の年々の詳細は不明な部分もありますが、メンバーたちは定期的に集まり、研究発表を行って続けていることが伺えます。2009年には『週刊文春』にて、磯野家のテレビの「地デジ化」に関する記事に岩松代表がコメントを掲載し、現在も学会の存在感を示しています。また、2018年には新刊『磯野家の危機』を発売しており、興味を持つ人々に新たな情報を提供しています。

残念ながら、岩松は2019年にこの世を去りましたが、彼の研究や活動は今もなおサザエさんファンや学者たちに受け継がれています。東京サザエさん学会の今後の活動に注目が集まっており、長谷川町子の作品が持つ文化的価値を新たな視点から探る重要な場であり続けることでしょう。

もう一度検索