東京再生都債

東京再生都債

東京再生都債は、東京都が発行する住民参加型の市場公募地方債の一種です。これは、地域住民や団体が直接的に東京都の事業を資金面で支援する仕組みであり、「ミニ公募債」とも呼ばれています。東京都が推進する長期的な都市計画「10年後の東京」の実現に必要な財源を確保することを主目的として、広く投資家から資金を調達するために発行されました。

概要と特徴

東京再生都債は、2002年に初めて発行が開始されました。当初は2007年までの期間、年に2回のペースで発行が行われていましたが、2008年以降は発行頻度が変更され、年に1回のペースとなりました。これにより、2011年末までに合計16回にわたって発行が行われています。

この債券の主な特徴として、償還までの期間が3年間と比較的短いことが挙げられます。また、発行価格は額面100円に対して100円00銭、すなわち額面通りの価格で販売されるため、債券に設定された表面利率がそのまま購入者が最終的に受け取る応募者利回りとなる点が分かりやすい特徴です。利息は年に二回、半年ごとに支払われ、満期である償還日には投資元本が一括して償還される方式が採用されています。

購入できる対象者は限定されており、東京都内に加え、埼玉県、千葉県、神奈川県の首都圏エリアに居住している、あるいはこれらの地域に通勤している個人が対象となります。また、同じエリア内に事業活動の主要な拠点を置く法人や団体も購入資格を有します。

購入にあたっては、最低購入単位が1万円と少額から設定されており、個人投資家にとって比較的参加しやすい金額となっています。ただし、一度に購入できる金額には上限が設けられており、1人または1つの団体あたり最大1億円までとされています。これにより、多くの住民や団体が広く参加できる一方で、資金の集中を防ぐ配慮がなされています。

この債券によって集められた資金は、全て東京都が策定した「10年後の東京」計画を実行するための費用として活用されます。この計画は、防災、環境、都市基盤の整備、国際競争力の強化など、多岐にわたる分野で東京の将来像を実現するための重要な施策群を含んでおり、東京再生都債はこれらの取り組みを資金面から支える役割を担いました。

発行実績と流通

東京再生都債は定期的に発行され、その都度、多くの投資家からの応募がありました。これにより、「10年後の東京」計画の推進に必要な安定した資金調達が図られました。その販売は、様々な金融機関を通じて行われました。第16回発行時には、主要な証券会社や銀行、信用金庫など、多数の金融機関が取扱窓口となり、広い販売網を通じて個人投資家や法人・団体に提供されました。

購入者への特典

東京再生都債の購入者に対する特典として、第7回発行分以降、購入者の中から抽選で船上見学会に参加できる機会が設けられました。これは、投資家への感謝を示すとともに、都政への関心を高めるためのユニークな試みでした。

関連する概念

東京再生都債は、住民参加型市場公募地方債という地方公共団体による資金調達手法の一つです。これは、従来の機関投資家向けの発行に加え、地域の住民や企業が直接債券を購入することで、地域活性化や公共事業に貢献できる仕組みです。発行主体である東京都、特にその財務を司る東京都財務局が、この債券の発行・管理の実務を担いました。

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