東京厚生年金会館

東京厚生年金会館（ウェルシティ東京）

東京厚生年金会館は、かつて東京都新宿区に存在した厚生年金福祉施設であり、社会保険庁によって設立されました。1961年4月15日に開館し、当時都内最大級の多目的ホールを有し、91室の宿泊施設や宴会場、レストランを併設していました。この施設は、厚生年金保険に加入する人々の福祉増進を目的としていました。

歴史

開場当初、東京厚生年金会館は多種多様なイベントが開催される場所として人気を集め、特に多目的ホールは音楽や演劇などの公演で頻繁に使用されていました。初めて行われた舞台は、森繁久彌の公演で、その後も数多くの著名アーティストやエンターテイナーがここでパフォーマンスを披露しました。これまでに、レッドツェッペリンや光GENJI、さらにはテレビ番組「8時だョ!全員集合」などでも利用されており、さまざまなジャンルの文化イベントが催されました。

しかし、時を経るにつれて建物の老朽化が問題視されるようになりました。2005年には施設の保有権が独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に移管され、次第に民間への売却が検討されるようになります。この過程で、新宿区議会は施設存続を求める意見書を提出するなど、利用者や地域住民からの存続希望の声が上がりましたが、経営の効率化と老朽化の進行により、閉館の運命は避けられませんでした。

閉館とその後

2010年3月31日をもって、厚生年金事業振興団による運営は終了し、最終のイベントとして、ASKAが「グッバイ東京厚生年金会館」と題した公演を行った他、複数のアーティストが最終公演を行いました。この時、さだまさしは「ホールは文化財」としての重要性を訴え、日本の文化政策に強い疑念を呈しました。

閉館後、施設は解体され、その跡地にはマンションが建設されることとなりました。特に、本館の解体工事中にアスベストが使用されていたことが発覚し、周囲の住民から懸念の声が上がりました。その後、この場所は一時的に駐車場として利用された後、2019年には新たにヨドバシカメラのネット配送センターが建設され、現在は鹿島建設の本社ビルも併存しています。

施設概要とアクセス

東京厚生年金会館は、新宿御苑前駅から徒歩5分、または新宿三丁目駅からも同じく徒歩5分の位置にあり、交通の便が非常に良かった点も魅力の一つでした。宿泊施設として91室を有し、定員は132名で、広い大ホールでは2,062席収容可能でした。

結語

東京厚生年金会館は、文化と福祉の場として多くの人々に愛されてきましたが、閉館の決定は地域文化にとって非常に悲しい出来事でした。新宿の中心にあったこの施設は、今もその歴史を語り継ぐ重要な思い出の地となっています。

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