東京大学丸和柏FUSIONフィールド

東京大学 丸和 柏FUSIONフィールドは、千葉県柏市に位置する東京大学柏地区キャンパス内に設けられた、スポーツ科学の研究とアスリートの育成を目的とする複合施設です。この施設は、最新設備を持つスポーツグラウンドと、先進的な研究を進めるための拠点を一体化させており、学術的な探求と実践的なトレーニングが融合する独自の場となっています。

施設の整備は、丸和運輸機関株式会社の和佐見勝社長による大規模な寄付によって実現しました。2021年7月、東京大学の柏キャンパス約5万2000平方メートルの敷地に、高性能な計測機器を備えた人工芝ラグビー場を含む研究施設の建設計画が発表されました。この計画に対して、和佐見社長は初期投資として約20億円、さらにその後の20年間にわたる年間1000万円（総額2億円）の研究費を私財から寄付しました。この篤志が施設の実現に向けた大きな契機となりました。

建設は順調に進み、2022年9月に施設が完成しました。完成以来、東京大学スポーツ先端科学連携研究機構（UTSSI：University of Tokyo Sports Science Initiative）の研究活動拠点として活用されています。UTSSIはここで、スポーツパフォーマンス向上や科学的トレーニング手法の開発に関する研究を進めています。また、当施設は学内の福利厚生施設としても機能しており、東京大学関係者がスポーツ活動やレクリエーションを行う場として利用されています。2023年春には、天然芝のラグビーグラウンド整備も完了し、より多様な環境での活動が可能になりました。

施設の中心となるのは、天然芝と人工芝がそれぞれ整備された2面のラグビーグラウンドです。これらのグラウンドは、高い品質を誇り、様々なトレーニングや練習形式に対応できます。グラウンドに隣接するクラブハウスには、選手や研究者のためのロッカールーム、シャワー、ミーティングスペースなどが備わっています。また、最新のトレーニング機器エリアもあり、専門的なフィジカル強化が可能です。UTSSIの研究室もクラブハウス内に配置され、研究と現場の実践が密接に連携できる環境が整えられています。

東京大学 丸和 柏FUSIONフィールドの重要な機能の一つは、スポーツ科学研究の実践的なフィールドである点です。特に、丸和運輸機関のラグビー部「AZ-COM丸和MOMOTARO'S」は、この施設を主要な練習拠点としています。同ラグビー部はUTSSIとの間で緊密な共同研究を行っており、その研究対象となっています。共同研究では、「AZ-COM丸和MOMOTARO'S」の選手から、動き、生理的反応、メンタル状態など多様なデータが収集・分析されます。研究の目的は、選手のコンディショニングの「最適化」とパフォーマンスの「強化」を科学的・合理的に達成するための、最先端の「フィジカル・メンタル強化システム」を開発することです。アスリートの生きたデータ活用を通じて、効果的なトレーニング理論や怪我予防策などの創出が期待されています。

和佐見社長による寄付は、施設の物理的な整備と運営基盤を支えました。寄付の内容は、約5.2ヘクタールの敷地の造成や外構工事、天然芝・人工芝グラウンドの設置工事、半屋外練習場の建設、そしてクラブハウス（研究室を含む）の建設費用など、施設の建設・整備に関わる多岐にわたる費用をカバーしています。これらの寄付により、東京大学は高水準のスポーツ科学研究・福利厚生施設を整備することが可能となりました。

当施設へのアクセスは、複数の交通手段が利用できます。つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」からは約2キロメートル、東武アーバンパークライン「江戸川台駅」からは約2.7キロメートル、常磐線「柏駅」からは約5.7キロメートルです。自動車の場合、常磐自動車道「柏IC」出口からもアクセスしやすい立地です。

この施設は、単なる練習場や研究室に留まらず、学術的な知見と実業団チームの現場経験が融合する「FUSION」の場として、スポーツ科学の進展とアスリート育成における新たな可能性を開拓する拠点として、今後の活動が注目されています。

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