東京工芸大学短期大学部

東京工芸大学短期大学部：写真教育の先駆

東京工芸大学短期大学部（Tokyo Institute of Polytechnics, Junior college）は、かつて東京都中野区に本部を置いていた私立短期大学です。1950年に設置され、1997年にその役割を終えました。

概要

本短大は、学校法人東京工芸大学が設置した短期大学であり、国内で最初に認可された149校の一つとして、東京写真短期大学の名で開学しました。当初は2学科体制でしたが、後に東京写真大学法人直轄の短期大学として、東京写真大学工学部との併設となり、3学科体制へと発展しました。

「東京工芸大学短期大学部」への改称期間は短く、実質的には旧「東京写真短期大学」の後継として、写真学科の卓越性から「写大」の略称で親しまれました。長年にわたり写真界を牽引し、スタジオ写真やコマーシャル写真の分野で活躍するプロ写真家の多くが、本短大の関係者で構成されていました。

総合大学化を経て現在の東京工芸大学に至るも、その核となる写真学科は基幹学科として存続し、発展を続けています。1993年度の入学生を最後に、1997年に短期大学としての使命を終えました。

教育理念

本短大の学是は「美と真実の探求」でした。創設者である杉浦仙之助の理念に基づき、写真美学と自然科学的真実の融合、感性と知性の調和を重視し、写真芸術と写真理論の双方を学ぶことを目指していました。この理念は、現在の東京工芸大学の「工」と「芸」の融合へと受け継がれています。

教育内容

写真や映像に関する専門教育が行われ、写真技術科では、報道、商業、ポートレート、造形写真など、幅広い分野で活躍できる人材育成を目指していました。写真応用科では、写真科学、応用写真、テレビ、映画などを専門的に研究し、画像技術科では、画像表現技術や画像再現技術（特に写真製版術）に関する科目を学ぶことができました。

特色

1923年創立の小西写真専門学校を起源とする、日本初の写真学系の短大であり、大学本部とは別に独立したキャンパスを持っていました。

沿革

1923年：小西写真専門学校として創立
1926年：東京写真専門学校に改組
1944年：東京写真工業専門学校に改組
1950年：東京写真短期大学として開学（写真技術科、写真工業科）
1966年：東京写真大学短期大学部に改称
1977年：東京工芸大学短期大学部に学名変更
1993年：短期大学としての学生募集を終了
1997年：廃止

キャンパスと施設

大学本部とは別に、独立したキャンパスを有していました。写大スタジオや写真現像作画処理暗室、写大ギャラリーなどの施設を備え、実践的な教育が行われていました。

学園祭

「写大祭（中野祭）」は、近隣の女子美術大学などとの交流も盛んで、写真展を中心に多くの催しが開催され、地域住民にも親しまれていました。

卒業後の進路

写真業界、放送・マスコミ、カメラマン、印刷（写真製版業態）など、メディア関連分野への就職が大半でした。また、東京工芸大学への編入者も多く、早稲田大学へ進学する学生もいました。

東京工芸大学短期大学部は、日本の写真教育の発展に大きく貢献した教育機関として、その名を歴史に刻んでいます。

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