東京市電気局700形電車

東京市電気局700形電車

東京市電気局700形電車は、1942年（昭和17年）に登場した路面電車で、現在の東京都交通局に所属しています。この電車は木南車輛で製造され、約10メートル級の軽量小型低床ボギー車という特徴を持っています。700形は、1200形と同様、前面に傾斜を持たせた「半流線型」のデザインが取り入れられていますが、全体的に低床で、車端部分が絞られているため、実物よりもさらに小柄な印象を与えます。

デザインと構造

700形の車体はリベットを用いずに全て溶接された構造となっており、そのため外観はクリーンで近代的です。窓の上下にあった帯が廃止されるなど、戦前の車両の中でも特に進んだデザインを誇ります。また、幕板部分には狭い張上げ屋根が採用され、高い側窓が特徴的です。この状態は、当時最新の交通機関を意識した設計がされていた証拠と言えるでしょう。

台車には、菱枠型フレームで騒音防止を謳ったD-13形のウィングばね式が新たに採用されました。発売当初、20両（701-720）が製造されましたが、戦争による被害で8両が焼失することとなりました。その後1948年（昭和23年）に3両が復旧され、最終的に15両（701-715）にまで減少しました。

特徴的な装備

700形の設計には、方向幕窓の両横に小窓が取り付けられていた点も特徴的です。左側の小窓には「急行」「割引」「満員」といった情報が表示され、右側には系統番号が表示されていました。しかし、次第にこれらの小窓は通常の系統板・表示板に取って代わられ、最終的には埋め込まれてしまいました。

配置と運用

新しく製造された700形は、最初は広尾車庫と目黒車庫にそれぞれ10両ずつ配置されました。しかし、目黒車庫に配属されていた10両のうち翌年、錦糸堀車庫に転属されたものの、戦災によって8両が焼失し、残った2両は広尾車庫へと転属されることになります。その結果、全ての700形は広尾に集まる形となりました。

戦後の運用においては、錦糸堀や早稲田車庫を転々とした後、1949年以降は全車が三田車庫に配置され、主に品川駅前から飯田橋間の3系統で6000形および7000形と共に使用されることになりました。軽量かつ小型の車体であったため、他の車両に比べて早く老朽化が進行し、2000形との交換により、1965年から1966年にかけて全車が廃車となる運びとなったのです。

廃車後の利用

702・704・705・706・707・712・713・714の8両が廃車された後、千葉県に売却され、児童遊園地や公団住宅に設置されました。また、神奈川県川崎市の川崎埠頭では作業員の休憩所としても利用され、さらに709号は横浜市の山手学院に運動器具庫として設置されるなど、様々な形でその存在を持ち続けています。

このように、700形電車はただの交通手段ではなく、その運用歴や形態は時代の変遷を表す重要な一翼を担っていたと言えるでしょう。

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