東京第二陸軍造兵廠

東京第二陸軍造兵廠について

東京第二陸軍造兵廠（とうきょうだいにりくぐんぞうへいしょう）は、大日本帝国陸軍の兵器廠の一つで、略称は「二造」です。この造兵廠は、主に東京都板橋区の板橋製造所を指し、1940年に陸軍兵器廠の一部として新たに設立されました。この地域は、赤羽線を挟んで東側に東京第一陸軍造兵廠が存在しており、両者は隣接した関係にあります。

歴史的背景

東京第二陸軍造兵廠の歴史は1880年に遡ります。1876年、加賀藩の旧江戸下屋敷跡に設立された火薬工場が、その起源です。この工場は、明治政府が初めて設置した火薬製造所として重要な役割を果たしました。1940年に東京第二陸軍造兵廠に改編され、陸軍の火工廠としての機能を持つようになりました。さらに、この廠は王子工場や堀船倉庫と連結する鉄道も敷設されており、製造品の輸送が効率的に行われました。

各製造所

東京第二陸軍造兵廠には、多数の関連製造所が存在しました。たとえば、多摩製造所は1938年に火工廠板橋製造所の多摩分工場として設立され、後に独立した製造所となりました。ここでは、炸薬や伝火薬筒が生産され、戦争の激化にともない需要の増加に対応するため、1939年から1944年にかけて工場の拡張が行われました。終戦後はアメリカ軍に接収され、現在は在日米軍の施設として利用されています。

また、深谷製造所は1944年に設立され、その後、戦局の悪化に伴う疎開先として重要な役割を果たしました。現在、この土地には深谷第一高等学校が建っています。

他にも、宇治や岩鼻、忠海などに製造所が設置され、それぞれが異なる製品を生産していました。忠海製造所では、毒ガスを砲弾に充填しており、戦後は陸上自衛隊の訓練施設として使用されていました。

文化財としての位置付け

板橋製造所を含む旧東京第二陸軍造兵廠の建物群は、文化財としても高く評価されています。2008年には「旧東京第二陸軍造兵廠建物群」が板橋区の登録有形文化財に指定され、さらに2017年には「陸軍板橋火薬製造所跡」として国指定史跡に認定されました。これにより、その歴史的価値が正式に認められ、現在は史跡公園として整備が進められており、2024年にオープン予定とされています。

結論

東京第二陸軍造兵廠は、日本の軍事史において重要な位置を占める施設です。その歴史や関連製造所の存在から、戦時下の日本の兵器製造に深く関与していました。今日では、その跡地が文化財として保存され、次世代に引き継がれています。

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