東京都交通局800形電車

東京都交通局800形電車

東京都交通局800形電車は、1947年から1968年まで東京都電車に在籍していた路面電車です。この車両は、1942年に登場した半鋼製のボギー電車700形の増備車として位置づけられており、戦後の復興期に製造されました。

製造背景と特徴

800形は、1947年から1948年にかけて40両が製造されました。製造は主に木南車輌製造と日本鉄道自動車工業の2社によって行われました。700形の後継として作られたにもかかわらず、800形はそのデザインにおいていくつかの変更が加えられました。特に特徴的なのは、車両側面の窓上にウィンドウ・ヘッダーと呼ばれる補強板が追加された点です。また、運転台のデザインも見直され、以前の形状が廃止されるなどして改良されました。これらの変更により、700形から800形への呼称変更が行われ、また、製造中に新しい形式名が与えられたこともありました。

技術的な特徴

この電車には三菱電機製のKR-208形制御器が搭載されており、特にその制御能力が際立っています。他の標準的な直接制御器と比べて、より複雑な多段式の設計が適用されており、直列10段、並列8段、制動10段という高い性能を持っていました。後に運用が進む中で、標準のKR-8に変更されることもありましたが、この高性能な制御器は800形の特長の一つとして知られています。

運用と解体

800形は1947年9月1日に営業運転が開始され、当初は700形の車両番号を持っていましたが、その後、新造車両の番号が800形に変更され、3両は801、802、823と改番されました。全車は早稲田車庫に配置されましたが、急勾配の39系統には入らず、主に15系統で運行されました。途中、一部の車両が柳島や南千住に転属することもありましたが、すぐに戻ってきました。1965年7月、815号車が事故に遭い、初めての廃車が発生したことから始まり、1967年8月には本格的な廃車作業が行われ、翌年1月には全車両が運用を終了しました。

このように、東京都交通局800形電車は、戦後の復興期において重要な役割を果たしながらも、技術的な進化とともにその歴史を刻んでいった存在でありました。都電の発展を支えたこの車両の存在は、多くの鉄道ファンに愛され続けているのです。

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