東京都市大学付属中学校・高等学校

東京都市大学付属中学校・高等学校（とうきょうとしだいがくふぞくちゅうがっこう・こうとうがっこう）は、東京都世田谷区成城に校舎を構える私立男子校です。学校法人五島育英会によって運営されており、東急グループに属しています。本校は、高等学校からの生徒募集を行わない、完全中高一貫教育を展開する男子校として知られています。

その前身は武蔵工業大学付属中学校・高等学校でした。「工業」という名が含まれていましたが、実際には工業科は設置されておらず、普通科のみが置かれていました。全校生徒数は約1500名規模です。2007年（平成19年）6月には、最新の設備を導入した新校舎が完成し、教育環境が刷新されました。

2009年 4月1日、運営母体である武蔵工業大学が東横学園女子短期大学との統合に伴い、東京都市大学に改称されたことから、付属校である本校も東京都市大学付属中学校・高等学校に名称が変更されました。この校名変更に合わせて、従来の校章とは別に、系列校共通のシンボルマークやロゴタイプ、コミュニケーションマークが新たに制定されました。これらはパンフレットや広告などの広報物、あるいは校舎の外壁などに使用されています。

本校の建学の精神は、東京都市大学が掲げる「公正、自由、自治」を理念としています。これは、生徒たちが社会において公正な判断ができ、自らの考えに基づき自由に行動し、集団の中で自律的に振る舞える人物に成長することを願う教育方針です。

学校の歴史は、1947年（昭和22年）4月に財団法人玉川女子行学園によって正和中学校が設置されたことに始まります。その後、学校法人武蔵工業学園による高等学校の開設、両法人の合併による学校法人五島育英会の設立、校名変更などを経て、現在の形に至っています。特に、1964年（昭和39年）4月には現在の世田谷区成城の地に移転しました。2010年（平成22年）4月からは高等学校での生徒募集を停止し、完全中高一貫校となっています。教育内容においては、2013年（平成25年）4月から入試・クラス編成が、難関国公立私立大学を目指すⅠ類と、より高度な最難関国公立大学を目指すⅡ類という類系制に移行しました。また、近年は2020年度に生徒全員に統一端末が配布されるなど、ICTを活用した教育も積極的に推進されています。

年間を通して様々な学校行事が行われ、生徒たちの成長を促します。特に特徴的な行事の一つに「柏苑祭（はくえんさい）」があります。これは例年9月下旬または10月上旬の土日に開催される文化祭で、校章の柏の葉に名前の由来を持ちます。生徒たちが中心となり、展示や発表などを行います。また、体育祭は中学と高校で別日程で行われ、中学では綱引きや騎馬戦などの選択種目や全員リレーなど、高校では球技などを中心とした競技が展開されます。研修旅行は中学3年と高校1年の年度末に行われ、中学3年は京都・奈良、高校1年は沖縄または北米を選択することができます。さらに、本校独自の伝統行事として「多摩川徒歩ラリー」があります。これは、かつて多摩川のほとりに校舎があった歴史にちなみ、中学1・2年生が2年間をかけて多摩川の下流から上流までを踏破することを目指すもので、学校のルーツを知る貴重な機会となっています。

校内には、生徒たちの学びや活動を支える充実した施設が整備されています。「アルママタ・ホール」はラテン語で「母校」を意味し、最大1100名を収容できるホールです。「サイエンス・ギャラリー」には、理科系の実験教室が複数設けられており、生徒たちの探究心を育みます。グラウンドは全面人工芝で、照明設備も完備されています。また、世田谷区鎌田には野球場やテニスコートなどを備えた広大な総合グラウンドがあり、様々な運動部が日々の練習に励んでいます。

クラブ活動も活発で、多くの運動部と文化部があります。特に、中学硬式野球部は東京都市大付属ボーイズとしてボーイズリーグに参加するなど、全国的にも珍しい活動形態をとっています。

学校関係者としては、1976年に設立された同窓会「むさこう」があり、卒業生同士の交流や在校生へのキャリア支援などを行っています。また、多くの著名な卒業生を輩出しており、映画監督の周防正行氏、フリーアナウンサーの久米宏氏（中学のみ）、ギタリストの高中正義氏らがいます。

学校法人五島育英会傘下には、東京都市大学や東京都市大学等々力中学校・高等学校などがあり、相互に連携しています。加えて、海外にも複数の姉妹校があり、国際的な視野を広げる機会も提供しています。

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