東京都精神医学総合研究所

東京都精神医学総合研究所

東京都精神医学総合研究所（とうきょうとせいしんいがくそうごうけんきゅうじょ、略称：精神研、英語名称：Tokyo Institute of Psychiatry）は、過去に東京都が設置運営していた、精神医学に関する高度で総合的な研究を専門とする機関です。1973年（昭和48年）に、東京都が国内の自治体の中でも先駆けて設立したこの研究所は、精神疾患の根本的な原因究明や効果的な治療法・予防法の開発、さらには人々の精神的な健康を維持・増進させるための研究を多角的に推進することを目的としていました。研究活動を通じて得られた知見を広く社会に普及させることにも力を入れ、都民の医療と福祉の向上に貢献することを目指していました。

設立当初から精神医学研究の最前線で活動を続けた精神医学総合研究所は、2011年（平成23年）4月には、東京都神経科学総合研究所や東京都臨床医学総合研究所といった他の都立医学研究機関と共に統合され、現在は公益財団法人東京都医学総合研究所の一部門として、その研究成果や蓄積された知見は新たな形で引き継がれています。

設立目的と主要な活動

研究所の設立趣旨は、精神医学分野における学術研究を発展させ、その研究成果を具体的な形で都民の健康と福祉に還元することにありました。具体的には、以下のような研究や事業が展開されていました。

精神障害の根本的な性質、発生原因、予防方法、および治療法に関する基礎研究と臨床応用研究。
人々の精神的な健康状態を良好に保ち、さらに向上させるための研究。
上記の研究活動から得られた成果を、医療機関や関連機関、そして広く都民に伝えるための普及啓発活動。
研究所が掲げる目的を達成するために必要とされるその他の事業。

これらの活動を通じて、精神疾患に苦しむ人々への支援強化と、社会全体の精神保健水準向上に寄与することを目指していました。

研究所の歩み（沿革）

東京都精神医学総合研究所は、設立から統合に至るまで、時代の要請や研究の進展に合わせて組織や体制を変化させてきました。主な沿革は以下の通りです。

1973年（昭和48年）7月：東京都により、10の研究室体制で研究所が発足しました。
1981年（昭和56年）10月：法人格が財団法人に変更され、「財団法人東京都精神医学総合研究所」となりました。
1984年（昭和59年）7月：組織体制が見直され、社会病理研究室と分子生物学研究室が新たに設けられました。
1990年（平成2年）8月：大規模な組織改編が行われ、12の研究室が2つの研究系と12の研究部門に再編成されました。
1999年（平成11年）4月：財団法人東京都医学研究機構の一部として位置づけられ、名称も「財団法人東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所」に変更されました。
2001年（平成13年）4月：研究部門が再編成され、3つの研究系と15の部門体制となりました。
2005年（平成17年）4月：研究体制が従来の部門別からプロジェクトベースへと大きく転換されました。組織も3つの主要研究分野と基盤技術部門に再編されました。
2011年（平成23年）4月：公益財団法人東京都医学総合研究所として、他の医学研究機関と統合され、独自の研究所としての役割を終えました。

統合前の組織構成

統合直前の時期、研究所は主に以下の研究分野と部門によって構成されていました。それぞれの分野の下には、特定の研究課題に取り組む複数のプロジェクトチームが設置されていました。

精神疾患研究分野
社会精神医学研究分野
精神生物学研究分野
基盤技術部門
* 事務室

これらの組織体制のもと、多岐にわたる精神医学研究が推進されました。

所在地

研究所が統合される前は、東京都世田谷区上北沢2丁目1番6号にその施設がありました。

東京都精神医学総合研究所が長年にわたり積み重ねた研究成果や専門性は、現在の東京都医学総合研究所に引き継がれており、引き続き都民の健康と福祉の向上に貢献するための研究活動が行われています。

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