東北イン

ビジネスホテル東北イン：変遷と歴史

宮城県大崎市古川駅前に開業したビジネスホテル「東北イン」は、その歴史において幾度かの変化を遂げました。2007年の開業から2021年のリブランドオープンまで、その変遷をたどることで、東北地方のホテル業界の動向の一端を垣間見ることができます。

東横イン古川駅新幹線口時代（2007年～2011年）

当初は、東横インチェーンに加盟する形で「東横イン古川駅新幹線口」として営業を開始しました。石巻市に本社を置くNOMCO&CO.（旧北日本海事）の関連会社であるパンパシフィックインターナショナルが所有する建物を、東横インが借り上げて運営する、一般的なフランチャイズモデルでした。この形態は、東横インがオーナーからホテル建物を長期借り上げ、賃料を支払うというビジネスモデルに基づいていました。

東日本大震災と自社運営への移行（2011年～2021年）

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北イン（当時、東横イン古川駅新幹線口）にも大きな影響を与えました。被災による損害に加え、パンパシフィックインターナショナル社長の逝去という事態も重なり、運営体制の見直しを余儀なくされました。

東横インとの契約終了後、パンパシフィックインターナショナルは自社運営に乗り出し、2012年12月1日に「ビジネスホテル東北イン古川駅前」として再開業しました。東横イン時代の外観や内装はそのままに、看板表記のみを「4&5 東横イン toyoko-inn.com」から「東北イン tohoku-inn.com」に変更した、比較的スムーズな移行となりました。東横インにおいて、開業から10年以内のチェーン脱退は異例であり、この点が東北インの歴史において特筆すべき点と言えます。

アパホテルへのリブランド（2021年～）

2021年4月、アパグループ株式会社がパンパシフィックインターナショナルの株式を取得しました。これにより、約8年間続いた「東北イン」としての歴史に幕が閉じられました。同年4月20日、ロビーや看板などの改装を経て、「アパホテル〈宮城古川駅前〉」としてリブランドオープンを果たしました。アパホテルは、2019年に古河市（茨城県）で新築ホテルを開業した際、類似名称との混同を避けるため「〈茨城古河駅前〉」という表記を採用していました。今回の「アパホテル〈宮城古川駅前〉」の名称も、同様の配慮がなされていると考えられます。

まとめ

「東北イン」は、その歴史の中で、東横イン、そしてアパホテルという、日本を代表するビジネスホテルチェーンと関わりを持つこととなりました。東日本大震災からの復興、経営方針の変化、そして企業買収など、様々な要因が複雑に絡み合い、ホテルの運営形態や名称が変化してきた過程は、地方都市におけるホテル業界のダイナミズムを象徴する出来事と言えるでしょう。その変遷は、経営戦略や時代背景を反映しており、今後のホテル業界の動向を考える上で貴重な事例と言えるでしょう。

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