東北民主連軍

東北民主連軍：国共内戦を彩った東北の軍隊

東北民主連軍は、中国共産党が国共内戦勃発への備えとして、中国東北部で編成した軍隊です。前身である東北人民自治軍を基盤とし、後に東北人民解放軍へと発展しました。本稿では、その設立から改編、そして国共内戦における活動まで、詳細に見ていきます。

設立と初期の活動

1945年11月14日、東北人民自治軍は東北民主連軍と改称されました。これは、中国共産党中央委員会の「強固な東北根据地（根拠地）の確立」という指示に基づくものでした。

当初、東北民主連軍は国民党軍が支配する大都市を避け、地方の町村を活動の中心に据えました。部隊は師（旅団に相当）単位で東北各地に分散配置され、民衆の扇動、残党や土匪（盗賊）の掃討、そして根据地の建設に尽力しました。1946年3月までに、約7万人の土匪が掃討されたと記録されています。

組織面では、部隊の整備と統廃合が積極的に進められました。東満、西満、南満、北満の4個軍区に分割され、各軍区の指揮下で部隊の再編が行われ、省軍区や軍分区の調整も行われました。

その後、情勢の変化に伴い、中国共産党中央軍事委員会の指示に従い、東北民主連軍は四平保衛戦を1ヶ月以上継続。国共両党間の交渉の進展に合わせて軍事行動を調整するなど、柔軟な対応も見せています。1946年2月3日には、通化で蜂起した日本人と国民党員を朝鮮人民義勇軍と協力して鎮圧する通化事件も発生しました。

国共内戦と組織の拡大

1946年6月下旬、国共内戦が再開されました。東北民主連軍は、中国共産党中央委員会の東北に対する闘争方針、および中共中央東北局の「七・七決議」（東北の現状と任務に関する決議）に従い、作戦を展開しました。国民党軍の戦線拡大と兵力分散を待って、残敵掃討、民衆扇動、土地改革などを実施。根據地の強化を図りながら、同時に部隊の整備強化にも着手しました。

8月から10月にかけては、複数の部隊の拡張・編制が行われました。山東省や華中地区からの部隊が東北民主連軍に編入され、新たな縦隊（師団相当の規模）が編成されました。これにより、東北民主連軍は5個縦隊、1個旅、3個独立師、約12万人の規模にまで拡大しました。

兵站面でも整備が進められました。砲兵を強化するため、多数の砲兵部隊が編成され、砲兵学校や司令部なども設立されました。また、帰順した馬賊を基に騎兵部隊も組織されました。さらに、鉄道警備のための護路軍も編成され、各地に配置されました。

人材育成にも力を入れており、東北軍政大学や東北医科大学などの教育機関の設置、各種専門学校の開設により、軍隊に必要な多様な人材を育成しました。

戦闘と攻勢

国民党軍の「南攻北守、先南後北」戦略に対抗するため、1946年10月下旬から11月初めにかけて、東北民主連軍は新開峰戦役を開始し、国民党軍1個師を撃滅しました。その後も「三下江南、四保臨江」作戦などで国民党軍を防御に追いやり、解放区の拡大に成功しました。1947年4月には、晋察冀軍区から約8万人が編入され、東北民主連軍の総兵力は46万人に達しました。

1947年5月中旬からは攻勢に転じ、夏季攻勢で国民党軍約8万人を撃滅。8月から9月にかけては、さらに新たな縦隊が編成され、前方指揮所が設置されました。9月中旬には秋季攻勢を開始し、国民党軍6万9千人を撃滅、15の都市を占領、東北戦域の主導権を掌握しました。

改編とその後

1948年1月1日、東北民主連軍は東北人民解放軍と改称されました。東北人民解放軍は、東北軍区と東北野戦軍に再編され、旧東北民主連軍の総部は軍区と野戦軍を指揮する機関となりました。こうして、東北民主連軍は歴史の舞台から姿を消しましたが、その活動は中国共産党の勝利に大きく貢献しました。

関連事項

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