東区 (仁川広域市)

大韓民国の行政区画の一つである東区（トンく）は、仁川広域市の東部に位置する区です。この地域は、近代以降の仁川港を中心とした発展の中で重要な役割を果たしてきました。

東区の設立は、1968年1月1日に遡ります。当時、京畿道仁川市であった地域のうち、万石洞、花水洞、花平洞、松峴洞、昌栄洞、金谷洞、松林洞といった複数の区域が再編され、新たな区として東区が設置されました。設立当初は京畿道に属していましたが、その後の広域市への昇格に伴い、仁川広域市の一部となりました。設立後の行政区域の変更として、1973年7月1日には、区域に含まれていた月尾島が隣接する中区に編入されるという出来事がありました。

東区の歴史は、まもなく一つの区切りを迎えます。大韓民国政府による行政区域再編計画に基づき、東区は2026年7月1日をもって廃止されることが決定しています。同日、東区は隣接する中区のうち本土に属する地域と統合され、新たに「済物浦区（チェムルポく）」が設置される予定です。これにより、東区という名称は行政区画としては消滅することになります。

現在の東区は、11の行政洞によって構成されており、これらは7つの法定洞に基づいています。これらの行政洞を通じて、区民への様々な行政サービスや住民生活を支える活動が行われています。

区内の治安維持活動は、仁川中部警察署の管轄のもとで行われています。東区内には、松林地区隊のほか、松峴派出所、西興派出所、清川派出所といった複数の交番や地区隊が配置されており、地域住民の安全確保に努めています。また、防災体制については、仁川中部消防署がその責務を担っています。区内には、松林119安全センターと万石119安全センターが設置されており、火災発生時や救急要請時など、緊急事態への迅速な対応体制が整えられています。

交通網も比較的発達しており、区民の移動や物流を支えています。鉄道については、首都圏電鉄1号線（京仁線）が区内を通過しており、桃源駅が東区内に位置する主要な駅として機能しています。また、東仁川駅は区境のすぐ外、中区に位置していますが、東区からのアクセスが良く、多くの区民に利用されています。道路網としては、国道6号線や国道77号線といった国の主要幹線道路が区内を通っています。さらに、かつては高速道路であった京仁高速道路の一部が一般道路化された仁川大路をはじめ、烽燧大路、長ゴケ路、重峯大路といった主要な幹線道路が整備されており、区内および周辺地域との交通の円滑化に貢献しています。

設立から半世紀以上の歴史を刻んできた東区ですが、行政再編により2026年7月1日には新たな区の一部として生まれ変わることになります。済物浦区としての未来が、この地域にどのような変化をもたらすのか、注目されるところです。

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