東急病院

東急病院

東京都大田区に所在する東急病院は、東急株式会社によって運営される企業立病院です。一般の患者さんにも広く門戸を開いており、地域医療の一翼を担っています。特筆すべきはその運営形態で、日本の大手私鉄事業者の中で、自社で病院を直接経営しているのは東急病院が唯一の存在です。

特徴的な構造と環境への配慮

東急病院は、2007年11月3日に現在地である東急大岡山駅の真上に移転しました。これは日本において前例のない「駅上病院」という画期的な構造を実現したものです。駅という交通の要衝に位置しながら、病院としての機能を十分に果たすため、鉄骨造5階建ての堅牢な建物が建設されました。また、鉄道の運行に伴う振動が病院機能に影響を与えないよう、駅構造部にはコイルばねを用いた高度な振動防止対策が施されています。

建物の設計においては、環境への配慮も重視されています。特に南側と西側の壁面には、約3,500平方メートルにも及ぶ広大な壁面緑化が施されています。ワイヤーを張り巡らせてツタを這わせるこのシステムは、都市における緑地の創出に貢献するだけでなく、ヒートアイランド現象の緩和や省エネルギーにも寄与しています。夏季には外気を冷却し、建物内部の室温を約2度低下させる効果があると言われており、快適な療養環境の提供にも繋がっています。

敷地内には「健康診断プラザ」も併設されており、東急グループで働く人々の定期健康診断を主として実施しています。加えて、大田区が実施する各種健康診断や検診の実施医療機関としても登録されており、地域住民の健康管理ニーズにも応えています。

沿革

東急病院の歴史は、1953年7月1日に現在の東京都大田区北千束の地に開院したことに始まります。その後、地域医療における役割を拡大し、1965年6月には総合病院としての承認を受けました。そして、2007年11月3日には、前述の通り東急大岡山駅直上という現在の画期的な立地に移転し、新たな歴史を歩み始めました。

診療体制と医療機関指定

東急病院では、地域の中核的な医療機関として、様々な診療科や診療部門を備え、幅広い疾患に対応しています。また、公的な医療機関としても多くの指定を受けており、地域医療における重要な役割を担っています。

主な医療機関指定は以下の通りです。

保険医療機関
救急告示医療機関
休日・全夜間診療事業実施医療機関（内科系・外科系）
労災保険指定医療機関
指定自立支援医療機関（更生医療・精神通院医療）
身体障害者福祉法指定医の配置されている医療機関
精神保健指定医の配置されている医療機関
生活保護法指定医療機関
結核指定医療機関
母体保護法指定医の配置されている医療機関

これらの指定は、東急病院が救急医療から専門医療、福祉に関わる医療まで、多岐にわたる医療ニーズに対応できる体制を整えていることを示しています。

交通アクセス

東急病院最大の利便性として、東急目黒線・大井町線のターミナル駅である大岡山駅に直結している点が挙げられます。駅改札を出てすぐに病院の入口があり、雨天時でも濡れることなくアクセス可能です。

ただし、利用目的によって利用する改札や入口が異なります。

一般の外来患者さんやその他の利用者は、駅正面口から西口玄関を利用します。
時間外の受診者、救急患者さん、面会者、人間ドックや健康管理センターを利用する方は、駅東口から東口玄関を利用することになります。

このように、東急病院は日本の鉄道会社が運営するユニークな病院として、駅直結という高い利便性、環境に配慮した革新的な構造、そして地域医療に貢献する幅広い診療体制を兼ね備えています。

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