東方美人

東方美人（オリエンタルビューティー）とは

東方美人は、台湾で生産される独特な青茶（烏龍[[茶]]）の一種です。別名、白毫烏龍[[茶]]、香檳烏龍[[茶]]、五色茶、椪風茶、膨風茶などとも呼ばれます。比較的発酵度が高く、紅茶に近い風味を持つのが特徴です。

ウンカが生み出す奇跡の茶

19世紀、台湾の新竹で、ウンカ（チャノミドリヒメヨコバイ）の被害を受けた茶葉を製茶したところ、偶然にも蜜のように甘く香ばしいお茶が誕生しました。これが東方美人の始まりです。ウンカは害虫ですが、東方美人においては、その存在が不可欠です。そのため、東方美人は「虫食い茶」とも呼ばれます。

当時、この製法は信じられず、「膨風茶（ほらふき茶）」と呼ばれたという逸話も残っています。

世界に広まった「東方美人」

東方美人は、当初ヨーロッパに輸出されましたが、本格的に人気が出始めたのは19世紀末から20世紀初頭にかけてのことです。イギリスで「オリエンタルビューティー（Oriental beauty）」と名付けられ、その訳語として「東方美人」が定着しました。ビクトリア女王が名付けたという説もありますが、年代が合わないため誤りと考えられています。

清代や日本統治時代から、台湾の重要な輸出品でしたが、近年では台湾国内での消費量も増加しています。

五色の茶葉と複雑な製造工程

東方美人の最高品質とされるものは、褐色、白、紅、黄、緑と五色に彩られた茶葉です。これはウンカの分泌物によって茶葉の二次代謝が起こり、香気成分が生成されるためです。茶葉の萎黄、新芽の成長停止、そしてその後の発酵の度合いが、この複雑な風味を生み出します。

最適な東方美人は、6月芒種の頃にウンカの被害を受けた茶葉を使用します。そのため農薬は使えず、ウンカの発生も天候、湿度、風量といった外部要因に大きく左右されるため、栽培も非常に困難です。日本の茶畑とは異なり、雑草が生えている状態で栽培されることが多いです。

他の茶との類似性

ウンカの害を逆利用して作られるお茶としては、紅茶として飲まれるダージリンティーも有名です。東方美人と同様に、ウンカが茶葉の風味に独特の影響を与えています。

誤った情報について

イギリスの実業家ジョン・ドッドが紹介した際、一部情報ではエリザベス2世が「オリエンタルビューティー」と名付けたという説がありますが、これも誤りであると考えられます。

まとめ

東方美人は、ウンカと人間の知恵によって生まれた、まさに奇跡のお茶と言えるでしょう。その独特な香りと風味は、多くの人々を魅了し続けています。

参考文献

薛雲峰 (2003). 『椪風茶』. 宇河文化出版.

関連項目

• - ダージリン・ティー
• - 茶柱倶楽部

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