東映スーパーヒーローフェア

「東映スーパーヒーローフェア」は、映画会社である東映が1993年から1995年の3年間、夏の時期を中心に開催した、特撮ヒーロー映画の連続上映企画です。この企画は、それまでアニメと特撮を組み合わせたプログラムとして親しまれてきた「東映まんがまつり」が、アニメ作品に特化した「東映アニメフェア」へと移行したことを受けて、特撮ヒーロー作品を単独で劇場公開する枠として新たに立ち上げられました。

企画の内容と構成

このフェアの最大の特徴は、一度に3本の特撮ヒーロー映画が上映される3本立て構成にありました。上映内容は、約50分の長編となる劇場用オリジナル作品を主軸とし、これに加えて当時テレビ放送されていた「スーパー戦隊シリーズ」および「メタルヒーローシリーズ」の劇場版がそれぞれ約25分の尺で併映されるという形でした。合計すると約1時間半のプログラムとなり、子供たちはもちろん、多くの特撮ファンにとって見どころ満載の企画でした。

各年の開催概要

スーパーヒーローフェアは3年間開催され、それぞれの年に異なるラインナップとテーマが設けられました。

1993年

キャッチコピー：「3大ヒーロー集合! 戦え、正義を守るため!!」

上映作品：

仮面ライダーZO (オリジナル作品)
五星戦隊ダイレンジャー (スーパー戦隊シリーズ劇場版)
特捜ロボジャンパーソン|特捜ロボ_ジャンパーソン (メタルヒーローシリーズ劇場版)

前売り券の購入者にはオリジナルポスターが、入場者には「びっくりイラストプレート」が特典として用意されました。

1994年

キャッチコピー：「ぼくらの地球があぶない! 立ち上がれ夢の三大ヒーロー!!」

上映作品：

仮面ライダーJ (オリジナル作品)
忍者戦隊カクレンジャー (スーパー戦隊シリーズ劇場版)
ブルースワット (メタルヒーローシリーズ劇場版)

この年も前売り券特典はオリジナルポスター、入場者特典は「ビックリ! 光るライダー戦士」でした。

1995年

キャッチコピー：「夢を、未来を守り抜け! 無敵の三大ヒーロー!」

上映作品：

人造人間ハカイダー (オリジナル作品)
超力戦隊オーレンジャー (スーパー戦隊シリーズ劇場版)
* 重甲ビーファイター (メタルヒーローシリーズ劇場版)

前売り券特典は引き続きオリジナルポスター、入場者特典は「特製紙帽子」が配布されました。

これらの上映に際しては、3作品をまとめた約2分間の劇場予告編が制作され、ナレーションは声優の戸谷公次氏が一貫して担当しました。

短命に終わった理由とその後

スーパーヒーローフェアは3年間で終了し、その後レギュラー企画として定着しませんでした。その理由の一つとして、毎回異なる「中核となるオリジナル作品」を企画・制作することの難しさが挙げられています。劇場公開用の新作特撮の機会は失われましたが、1996年以降、スーパー戦隊シリーズやメタルヒーローシリーズのテレビシリーズ以外の展開は、主にVシネマ作品へと移行していきました。

しかし、この企画の流れを全く断ち切ったわけではありません。2001年に『劇場版百獣戦隊ガオレンジャー』と『劇場版仮面ライダーアギト』が同時上映されて以来、スーパー戦隊シリーズと仮面ライダーシリーズの二本立て上映が定番化しました。これは、形式こそ異なりますが、複数の東映特撮ヒーローがスクリーンに登場する機会を設けた「スーパーヒーローフェア」の歴史を間接的に受け継いでいるとも解釈できます。

上映された各作品は、後にバンダイビジュアル（仮面ライダーシリーズ）や東映ビデオ（スーパー戦隊、メタルヒーローシリーズ）からDVDなどの映像ソフトとして発売されており、シリーズごとに「スーパー戦隊 THE MOVIE」「東映特撮ヒーロー THE MOVIE」といった異なるパッケージタイトルが使用されています。

また、この企画は時間が経ってからも再評価されています。例えば、2008年10月には東映チャンネルで「完全復刻!東映スーパーヒーローフェア‘93」と題し、1993年の上映作品がまとめて放送されるなど、かつてのファンにとっては懐かしく、新しいファンにとっては貴重な映像に触れる機会が提供されました。

スーパーヒーローフェアは短命ながらも、複数の人気特撮ヒーローが同時に劇場公開されるという、当時の子供たちにとって大きな喜びとなった画期的な企画でした。その試みは形を変えつつ、現在の特撮映画文化にも影響を与えていると言えるでしょう。

もう一度検索