東洋哲学研究所

公益財団法人 東洋哲学研究所

設立と概要

公益財団法人東洋哲学研究所（とうようてつがくけんきゅうしょ）は、1962年（昭和37年）1月27日に設立された研究機関です。この研究所は、当時の宗教法人創価学会第三代会長であり、現在の創価学会名誉会長である池田大作氏の発意に基づいて誕生しました。財団としての設立登記は1965年（昭和40年）12月3日に行われ、2010年（平成22年）11月18日には公益財団法人としての認定を受けています。

研究所の拠点は、東京都八王子市にある創価大学の敷地内に設けられています。設立者は池田大作氏です。現在の代表理事兼所長は、創価大学名誉教授である田中亮平氏が務めています。

設立の目的と活動理念

東洋哲学研究所が掲げる設立の目的は多岐にわたります。

第一に、東洋に根差した思想、特に仏教が持つ卓越した思想や哲学を深く掘り下げ、研究すること。第二に、哲学、歴史学、文学、社会学といった多様な学問分野との連携を強化し、学際的な研究を推進すること。そして第三に、これらの学術活動を通じて得られた知見や研究成果を社会に還元し、平和、人権、環境問題など、現代そして未来において人類が直面する様々な困難や課題の克服に貢献することを目指しています。

主な事業内容

研究所は、設立の理念を実現するために、国内外で様々な事業を展開しています。

1. 国際的な学術交流: 世界各国の研究機関との連携を重視しており、中国の敦煌研究院、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、マレーシアのマラヤ大学文明間対話センターなど、多くの著名な研究機関との間で学術交流協定を結び、共同研究や情報交換を行っています。
2. 研究成果の普及・啓発: 一般の人々に向けて研究成果を分かりやすく紹介するため、展示会の開催に力を入れています。中でも代表的なのが、2006年から開始された「法華経――平和と共生のメッセージ」展（通称：法華経展）です。この展示会は、研究所が進める法華経の研究成果を広く公開し、経典がたどった歴史的な伝播の道のりや、その教えの内容を分かりやすく伝えることを目的としています。

展示内容には、8世紀に書かれた貴重なペトロフスキー法華経写本や、1～2世紀に成立したとされるガンダーラ語の法句経写本の複製など、約160点の文物やその画像が含まれます。また、敦煌莫高窟の壁画に描かれた優美な飛天の模写絵や、古代の経典書写に実際に使用されたと考えられる鉄筆や白樺の樹皮などの道具の複製も展示され、当時の文化や背景を伝えています。

この法華経展は国際的に展開されており、仏教発祥の地であるインドやネパールをはじめ、アジア、ヨーロッパ、南米といった世界17カ国・地域を巡回し、これまでに累計90万人以上が鑑賞しました。日本国内でも、東京、兵庫、福岡、北海道の4都市で開催されています。さらに、法華経展の成功を基盤として、仏教経典全体を視野に入れた「仏教経典：世界の精神遺産」展も企画され、フランスのパリ、レンヌ、マルセイユの3都市で開催され、合計1万人が来場しました。これらの展示会に際して、内容を解説する『ガイドブック法華経展―平和と共生のメッセージ―』などが、日本語、英語、韓国語、簡体字・繁体字の中国語の4言語で刊行されているほか、フランス語版のガイドブックも発行されています。
3. 出版活動: 創価学会との共同事業として「法華経写本シリーズ」の刊行を進めており、これまでに全20点が世に送り出されています。加えて、研究員の研究成果や紀要を発表する媒体として、『東洋学術研究』や『東洋哲学研究所紀要』といった機関誌を定期的に発行しています。
4. 公開講演会: 研究員や外部の専門家を講師に招いた連続公開講演会を実施しています。近年ではオンライン形式での開催が増加しており、一度に約3000人もの視聴者を集めるなど、広く社会に研究内容や知見を発信する機会となっています。
5. オンラインでの情報公開: 公式ウェブサイトやInstagramなどのオンラインプラットフォームを通じて、研究所の活動内容や研究成果、イベント情報などを積極的に発信し、一般の人々との接点を設けています。

研究体制

研究所では、主任研究員、研究員、特任研究員などの常勤の研究者のほか、外部からの委嘱研究員など、多様な専門性を持つ多くの研究者が所属し、それぞれの研究テーマに取り組んでいます。研究所の運営を担う役員として、複数の副所長も置かれています。

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