東海館

東海館：伊東の歴史と文化が薫る温泉遺産

東海館は、静岡県伊東市東松原町に位置する、かつて温泉旅館として賑わった建物を改修した文化施設です。伊東市の指定有形文化財であり、昭和初期の建築様式を今に伝える貴重な存在として、多くの人々に親しまれています。

温泉旅館としての歴史

東海館は、1928年（昭和3年）に地元の材木商、稲葉安太郎によって創業されました。伊東温泉の隆盛とともに発展し、1938年（昭和13年）の伊東線開通後は、湯治客から団体客へと客層を変化させ、それに伴い増築を重ねて規模を拡大しました。特に1938年の増築では、各階を異なる棟梁が担当し、その技術を競い合ったという逸話が残っています。1949年（昭和24年）には望楼が建設され、周辺に高い建物がなかった当時は、天城山の雄大な景色を一望できたと言われています。しかし、1958年（昭和33年）には狩野川台風によって甚大な被害を受けました。

1988年（昭和63年）には、東海館周辺の景観が「静岡県まちなみ50選」に選定され、その美しい佇まいが評価されました。

文化施設としての新たな жизнь

1997年（平成9年）、東海館は温泉旅館としての営業を終え、建物は伊東市に寄贈されました。その後、保存改修工事を経て、2001年（平成13年）7月26日に文化施設として新たに開館しました。

2002年度（平成14年）には、「温泉文化香る東海館界隈」が静岡県景観賞の最優秀賞を受賞し、その文化的価値が改めて認められました。また、1999年（平成11年）3月30日には伊東市指定有形文化財に指定されています。

館内の見どころ

東海館の館内は、随所に職人の技が光る、見ごたえのある空間となっています。

1階: 玄関、受付、ホール、中庭、喫茶室、大浴場、小浴場などがあります。趣の異なる複数の部屋があり、それぞれ異なる意匠が凝らされています。
2階: 常設展示室や特設展示室、会議室・展示室などがあります。当時の写真や資料が展示されており、東海館の歴史を深く知ることができます。
3階: 大広間と舞台があり、かつては宴会場として使用されていました。現在もイベントなどに利用されています。
望楼: 最上階にある望楼からは、伊東の街並みを一望できます。

その他の魅力

東海館は、ヤマザキマリの漫画『テルマエ・ロマエ』に登場する温泉旅館「伊藤温泉 東林館」のモデルとしても知られています。また、大浴場にある唐獅子の彫刻は、彫師の森田東光が手掛けたものです。近年では、映画『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』など、様々な映像作品のロケ地としても利用されています。

東隣には、大正時代創業の旅館いな葉がありましたが、現在はゲストハウス「ケイズハウス伊東温泉」として営業しています。旅館いな葉の建物も、国の登録有形文化財に登録されています。

利用案内

アクセス: JR伊東線伊東駅から徒歩約1km
休館日: 毎月第3火曜日、1月1日
見学:
開館時間: 9時-21時
入館料: 大人200円、小人100円
入浴:
男性大浴場: 11時-12時45分、15時-16時45分
女性大浴場: 13時-14時45分、17時-19時
* 入浴料: 大人500円、小人300円

東海館は、伊東の歴史と文化に触れられる貴重な場所です。ぜひ一度、その美しい空間を訪れてみてください。

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