東漸寺 (松戸市)

東漸寺（とうぜんじ）

東漸寺は、千葉県松戸市小金に位置する浄土宗の寺院で、特に美しいしだれ桜で知られています。この寺院は、文明13年（1481年）に信濃国出身の経譽愚底運公上人によって、現在の場所から少し離れた根木内に開創されました。その後、約60年の歳月を経て、天文年間（1532年 - 1555年）に現在の場所に移されました。

歴史

江戸時代初期には、東漸寺は関東十八檀林の一つとして選ばれ、その名声を確立しました。檀林とは、僧侶の教育機関であり、東漸寺は広大な境内を持ち、多くの建物を有していました。享保7年（1722年）の大改修では、本堂、方丈、経蔵（観音堂）、鐘楼、開山堂、正定院、東照宮、鎮守社、山門、大門、そして8つの学寮を含む20以上の堂宇が建立され、末寺は35カ寺にも及びました。この時期、東漸寺は名実ともに大寺院として発展しました。

明治時代に入ると、東漸寺は明治天皇によって勅願所となり、皇室の繁栄を祈願する場所となりました。しかし、廃仏毀釈の波が押し寄せ、神殿、開山堂、正定院、浄嘉院、鎮守院などの多くの堂宇が失われることとなりました。さらに、学寮とその敷地は、地域の青少年の育成のために寺子屋として利用され、後に黄金小学校（現在の小金小学校）となりました。幕末以降、寺院の経済基盤であった広大な寺有田（現在の新松戸周辺）も、第二次世界大戦後の農地解放によって失われ、境内も荒廃しました。

しかし、歴代の住職たちの尽力によって、関東屈指の文化財や、檀林時代の面影を伝える古木や巨木が保存されてきました。これらの保存された遺産が、東漸寺の復興に大きく貢献しました。

昭和38年（1963年）には、寺子屋教育の精神を現代に蘇らせるため、東漸寺幼稚園が開設されました。昭和40年（1965年）からは、開創500年記念の復興事業が開始され、熱心な檀信徒の協力のもと、本堂、鐘楼、中雀門、山門、総門の改修、書院の新築、そして平成8年（1996年）には観音堂の再建が完了し、現在の姿に至っています。

現在の東漸寺

現在、東漸寺は、樹齢330年を超えるしだれ桜、鶴亀の松、参道の梅、あじさい、紅葉など、四季折々の自然が楽しめる場所として多くの人々に親しまれています。特に、春の桜の季節には多くの観光客が訪れます。また、4月の御忌まつり、10月の商店街主催のフリーマーケット、12月の除夜の鐘など、年間を通して様々なイベントが開催され、地域の人々にも愛されています。

東漸寺は、その長い歴史の中で、様々な困難を乗り越え、地域の文化と歴史を今に伝える重要な存在です。訪れる人々は、その美しい自然と歴史的な建造物を通じて、日本の伝統美を感じることができます。

交通アクセス

バス:
京成バス「小金小学校」バス停から徒歩約2分

鉄道:
JR常磐線「北小金駅」南口から徒歩約5分

関連項目

日本の寺院一覧
日本の寺の画像一覧

リンク

* 東漸寺公式HP

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