東西南北 龍介がゆく

東西南北 龍介がゆく

『東西南北 龍介がゆく』（とうざいなんぼく りゅうすけがゆく）は、関西地方を中心に多くのリスナーに親しまれたABCラジオ（朝日放送）の情報ワイド番組です。1999年4月に放送を開始し、2003年9月までの約4年半にわたり、月曜日から金曜日の帯番組として届けられました。

この番組の顔となったのは、当時朝日放送のアナウンサーだった乾龍介氏です。落ち着いた中にも温かみのある語り口で、日々のニュースや生活に役立つ情報、そしてリスナーとのコミュニケーションを大切にした進行を務めました。

出演者

番組を彩ったレギュラー出演者は以下の通りです。

パーソナリティ: 乾龍介（当時 朝日放送アナウンサー）
アシスタント: 棟永美穂
* 「孫の手お調べ隊」隊長: 笑福亭銀瓶

番組の中心企画「孫の手お調べ隊」

特に番組の大きな特色となっていたのが、「孫の手お調べ隊」というリスナー参加型の企画コーナーです。これは、リスナーが日々の生活の中で抱く「これってどうなっているんだろう？」「なぜそうなの？」といった、些細ながらも気になって仕方がない疑問や知りたいことを番組に寄せてもらい、それを番組スタッフや「隊長」である笑福亭銀瓶氏らが実際に調査するというものでした。

調査対象となる疑問は多岐にわたり、例えば「自動販売機のおつりがなぜいつも同じ硬貨ばかりなのか」「特定の地域にだけ見られる風習の由来は」「電車の座席のモケットの耐久性」など、専門家に聞くほどではないが、多くの人が共通して抱きうる、暮らしに根ざした素朴な問いが中心でした。

調査は、疑問に関連する企業や公的機関への電話取材、専門家へのインタビュー、文献調査、そして当時徐々に普及し始めていたインターネットを活用するなど、様々な方法を組み合わせて行われました。調査の過程や進捗状況は、番組の冒頭でその日に取り上げる疑問が発表された後、放送時間中に随時報告されました。そして、調査の結果が判明次第、番組内でしっかりとリスナーに伝えられました。このコーナーは、単に情報を提供するだけでなく、リスナーと番組が一体となって疑問を解消していくプロセスそのものを楽しむものであり、番組に高いインタラクティブ性をもたらしていました。

ワイド番組としての構成と変遷

『東西南北 龍介がゆく』は、一般的な情報ワイド番組として、ニュース、天気予報、交通情報といった生活に不可欠な情報を提供するとともに、音楽や様々な話題を取り上げていました。乾龍介アナウンサーの安定感ある進行と、共演者である棟永美穂氏や笑福亭銀瓶氏との軽妙なやり取りも番組の魅力の一つでした。

番組は放送期間中に、何度か放送時間の変更を経験しています。これは、編成上の都合や聴取率の状況など様々な要因が考えられますが、その都度、リスナー層や番組の雰囲気にわずかな変化があったのかもしれません。しかし、乾龍介氏を中心とした親しみやすいスタイルと、リスナーの声に応える企画は一貫しており、多くのリスナーに支持され続けました。

約4年半の放送期間を通じて、『東西南北 龍介がゆく』は、日々の暮らしに必要な情報を届け、リスナーの「知りたい」という気持ちに応えることで、地域社会におけるラジオの役割をしっかりと果たした番組でした。乾龍介氏のパーソナリティと「孫の手お調べ隊」のようなユニークな企画は、今なお記憶に残るものとなっています。

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