東西大学対抗ラグビー

東西大学対抗ラグビー：大学ラグビー黎明期の象徴と終焉

東西大学対抗ラグビーは、1925年から1963年まで開催された、大学ラグビー界における歴史的な大会です。現在の全国大学ラグビーフットボール選手権大会（大学選手権）の直接の前身という位置づけではなく、実質的な前身大会として、日本の大学ラグビー界において、長きにわたり重要な役割を果たしました。

大会概要と名称

大会の正式名称は明確に定められておらず、「東西大学対抗（戦）」や、東西の1位校同士の対戦時には「東西学生ラグビーフットボール対抗王座決定戦」と呼ばれることもありました。しかし、関東・関西のオールスター戦とは異なり、東西1位校の対戦に限定されなかったため、本稿では「東西大学対抗ラグビー」と記述します。

この大会は、日本の大学ラグビーにおける事実上の日本一決定戦でしたが、ラグビーの伝統的な精神「好きなチームと戦い、勝敗にこだわらずベストを尽くす」を重んじたため、東西1位同士の対戦が実現しないケースもあり、そのような場合は優勝チームは選出されませんでした。

第1回大会は1926年1月10日、同志社大学と慶應義塾大学の間で行われ、6-6の引き分けに終わりました。そのため、優勝チームはなく、優勝旗は日本ラグビー蹴球協会（現・日本ラグビーフットボール協会）に預けられました。

開催時期や場所は、年度によって異なりました。基本的には、西暦奇数年度は関東、偶数年度は関西で開催されましたが、早稲田大学対京都大学、明治大学対同志社大学の対戦は逆の開催地で行われました。

大会廃止の背景

第二次世界大戦前は、関東五大学対抗戦（後の関東大学ラグビー対抗戦グループ）のチームや、関西の強豪校が中心でしたが、戦後、法政大学や関西学院大学などの新興校が台頭しました。伝統校との間で対立が生じ、「不戦で優勝なし」という結果が相次ぐようになり、大学ラグビーの人気も低迷しました。

さらに、全国社会人ラグビーフットボール大会がトーナメント方式を採用し、1960年には日本協会招待NHK杯争奪ラグビー大会（大学選手権の前身）も始まりました。社会人チームとの実力差を埋める必要性も高まったことから、日本協会と関東ラグビーフットボール協会は、1964年度からトーナメント方式による大学選手権を開始することを決定。東西大学対抗ラグビーは、1963年度をもって廃止されました。

大会廃止後

東西大学対抗ラグビーは廃止されましたが、東西の大学間の対抗戦はその後も、しばらくの間は続けられました。

早稲田大学の圧倒的な強さ

東西大学対抗ラグビーにおいて、最も多くの優勝回数を誇るのは早稲田大学で、9回の優勝を記録しています。これは、早稲田大学のラグビー部が長年にわたって高い競技力を維持してきた証であり、大学ラグビー史において重要な位置を占める実績です。

まとめ

東西大学対抗ラグビーは、大学ラグビー黎明期から発展期にかけて、日本における大学ラグビーの頂点として君臨しました。その歴史は、大学ラグビーの変遷、そして日本のスポーツ文化の歴史を理解する上で重要な要素と言えます。伝統と革新、そして競争と協調が複雑に絡み合った、日本の大学ラグビーの豊かな歴史の一ページです。

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