東部地区大学野球連盟

東部地区大学野球連盟（とうぶちくだいがくやきゅうれんめい）

東部地区大学野球連盟は、かつて全日本大学野球連盟の下部組織として存在し、全日本大学野球選手権大会へ出場する関東地区代表校を選出する重要な役割を担った大学野球の競技団体組織です。関東地区に所在する複数の大学硬式野球部が、直接ではなく傘下のリーグを通じて所属していました。

設立と初期の形態

この連盟は、第二次世界大戦後の学制改革を経て発足した全国新制大学野球連盟の関東地区予選支部として始まりました。その後、旧制大学からの伝統を持つ連盟（東京六大学リーグや東都大学リーグなど）を含む新たな全国規模の連盟、すなわち現在の全日本大学野球連盟が誕生すると、東部地区大学野球連盟は東京六大学および東都大学リーグを除く関東地区の大学を対象とする代表決定予選の組織へと位置づけが改められました。

設立から数年間は地区内の地域連盟が十分に整備されていませんでしたが、その後の期間において、東部地区大学野球連盟自体に直接加盟する大学チームは存在しませんでした。加盟各校の運営やリーグ戦、大会実施は、連盟傘下の各地域リーグによって行われていました。しかし、全日本大学野球連盟から見た組織上の扱いは異なっており、代表枠を持つ東部地区連盟が全日本大学野球連盟に承認された正式な連盟であるという認識に基づき、例えば傘下の東京新大学リーグや神奈川リーグに所属する全ての大学は、組織上は東部地区連盟に所属していると見なされていました。

これは言い換えれば、全日本大学野球連盟は地区内の運営や管理を東部地区連盟内部の問題とし、代表校の決定方法がどのように行われるか（全チーム参加のトーナメントか、予選リーグと代表決定戦の組み合わせかなど）は地区連盟の判断に委ねていました。例えば、東部地区内の神奈川リーグが実施するリーグ戦は、全日本大学野球連盟からは代表決定のための予選リーグの一つであると認識されていたのです。このような形態は、現在の全日本大学野球連盟における東海地区大学野球連盟とその傘下にある各県別リーグの関係と類似していました。

沿革と組織の再編・消滅

その後、参加校の競技レベル向上や各地区連盟からの要望、地方連盟の発展などを背景に、全日本大学野球選手権大会の出場枠が拡大され、それに伴う地区連盟の再編成が進みました。これにより、東部地区連盟内にあった既存のリーグの枠組みが順次独立していきました。

具体的な沿革は以下の通りです。

- 1947年: 全国新制大学野球連盟の結成に伴い、その関東地区として設置されました。
- 1952年: 全日本大学野球連盟への発展的移行に伴い、そのまま全日本大学野球連盟の関東地区となり、東京六大学および東都大学リーグを除く全ての関東地区の代表決定枠を担うことになりました。この時点で既に結成されていた東京新制大学野球連盟や神奈川県下六大学野球連盟は関東地区の傘下組織となり、関東地区大会として、神奈川リーグ、東京都新制リーグの代表およびその他の代表チーム間で全日本大学野球選手権大会への出場代表を決定する大会を実施しました。
- 1953年: 地区名称が東部地区と改められました。この間に、東部地区内には千葉県大学野球連盟も結成され、傘下に入りました。
- 1965年: 全日本大学野球選手権大会の出場枠拡大に伴う地区連盟の再編成が行われました。東部地区からは関東五大学野球連盟、東京新大学野球連盟が独立しました。これにより、東部地区大会は、千葉県大学野球連盟と北関東甲信越地区の間の代表決定予選へと移行しました。
- 1991年: 再び全日本大学野球選手権大会の出場枠拡大に伴う地区連盟の再編成が行われました。この時、東部地区から千葉大学野球連盟と北関東甲信越大学野球連盟が独立しました。これにより、東部地区大会の開催が必要なくなり、組織としては実質的に役割を終え消滅しました。ただし、この措置は当初、向こう3年間の試験的な実施とされ、また秋季リーグ戦後に行われる明治神宮大会の代表選出については、形式的にそれまでの秋季東部地区大会として行われていた千葉県大学野球連盟と北関東甲信越大学野球連盟の間での代表決定戦が続いたため、東部地区大学野球連盟あるいは東部地区大会の名称が引き続き使用される状況が続きました。
- 1993年: 前回導入された再編成が今後も継続することが正式に決定されました。これにより、曖昧さが残っていた地区名称や地区連盟の存在は、この年の秋季をもって完全に終了しました。秋季に行われる千葉県大学野球連盟と北関東甲信越大学野球連盟の間の代表決定戦およびその代表枠も、東部地区大会および東部地区代表という名称から、「千葉・北関東甲信越」代表決定戦および代表へと改められました。

代表決定方法の変遷

1965年の再編以前の東部地区大会が具体的にどのような形式で実施されていたかについては、現在利用可能な資料が不足しており、詳細な内容は不明です。

1965年から1991年にかけての期間は、千葉県大学野球連盟の代表校と北関東甲信越地区の代表校の間で、全日本大学野球選手権大会および明治神宮大会の代表権をかけた決定戦が行われていました。この代表決定の方法は、時期によって変遷を遂げています。最後期には、現在の入れ替え戦などでも見られる方式と同様に、各連盟から1校ずつ代表校を選出し、その2校間で2戦先勝方式で代表校を決定していました。

それ以前、具体的には1985年春季大会から採用された方法では、各連盟から2代表ずつの計4校が集まり、同一連盟所属校同士の対戦がない変則的なリーグ戦形式が取られていました。しかし、この方式における優勝規定は複雑で、例えば、同一連盟の第1代表と第2代表が共に2勝した場合に第1代表が優勝となる規定はありましたが、第1代表が1勝に留まった場合でも、2勝を挙げた第2代表が単純に優勝とならないなど、理解しにくい点が伴いました。この方式が採用される以前は、一連盟から2代表ずつの4校間で1回戦総当たり戦を実施し、単純な勝率に基づいて代表校を決定していました。

このように、東部地区大学野球連盟は、関東地区における全日本大学野球選手権大会の代表選出において、その時代ごとの大学野球界の構造変化に応じながら、様々な形態で重要な役割を担っていましたが、最終的には地区再編によりその役目を終えました。

もう一度検索