松井康成

松井 康成（まつい こうせい）

松井康成は、日本の著名な陶芸家であり、国の重要無形文化財「練上手」の保持者として人間国宝に認定されました。本名は美明で、1927年5月20日に長野県北佐久郡本牧村（現在の佐久市）で生を受けました。彼の人生と業績は、陶芸の発展に寄与した重要な部分を形成しています。

経歴

松井は戦争の影響で茨城県笠間町に疎開しました。旧制神奈川県立平塚工業学校を卒業後、笠間にある奥田製陶所で陶芸の技術を身につけました。明治大学の文学部に進学し、木村武山の弟子である海老沢東丘に陶芸を学びました。大学卒業後は、月崇寺の住職を継ぎ、1960年には寺の境内に窯を築きました。彼は古陶磁を幅広く研究しながら、作陶を続け、1968年からは田村耕一に師事し練上手の技法を深めました。

彼の努力の成果は、数々の受賞歴に表れています。1988年には紫綬褒章を受賞し、1990年に日本工芸会の常任理事に就任。1993年には重要無形文化財「練上手」の保持者に認定され、その後も作陶活動に専念しました。2000年には勲四等旭日小綬章を受章し、2003年に笠間で亡くなりました。彼の功績は、その後長男の松井康陽によって受け継がれています。

賞歴

松井康成は多くの賞を受賞しており、彼の陶芸作品は高く評価されています。1969年には第9回伝統工芸新作展で奨励賞を受賞したほか、1971年には第18回日本伝統工芸展で総裁賞を獲得しました。また、1973年の第2回日本陶芸展では秩父宮賜杯賞および最優秀作品賞を受賞し、1975年に第22回日本工芸展でNHK会長賞を受賞。1990年には日本陶磁協会賞金賞も受賞しています。

代表作

松井の作品はその美しさと技術的な巧みさで知られ、いくつかの代表作があります。1981年に制作された「練上嘯裂文大壺『風船』」は茨城県陶芸美術館に所蔵され、1978年に制作した三層象裂瓷壺「岳」も同館に収蔵されています。また、1998年には明治大学に陶壁画「人間賛歌」を手掛け、1999年には練上玻璃光大壺が東京国立近代美術館に寄贈されました。これらの作品は彼の技の高さと独自の美的感覚を示しています。

最後に

松井康成の陶芸における貢献は計り知れず、彼の作品は今も尚多くの人々に感動を与えています。また、彼の技術と精神は弟子たちによって受け継がれ、未来へと続いていくことでしょう。

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