松原武生

松原武生（まつばら たけお）は、1921年4月3日に大阪市で生まれ、2014年12月15日に生涯を閉じた、日本の物理学者です。彼の研究は、理論物理学、特に統計物理学の分野において重要な貢献を果たしました。

生い立ちと学歴

大阪市で生まれた松原は、旧制北野中学、旧制大阪高校を経て、大阪帝国大学（現在の大阪大学）理学部物理学科を卒業しました。その後、同大学院に進学し、「結晶によるX線散漫散乱の理論的研究」で博士号を取得しました。

研究活動

松原の研究は、場の量子論の手法を統計物理学に適用することに焦点を当てていました。彼はグリーン関数に関する統計力学的手法を開発し、この分野に新たな視点をもたらしました。この業績は、現代の物性物理学において不可欠な基礎理論となっています。

豊沢豊との共同研究では、半導体の不純物バンドに関する研究を行い、ランダム格子内の電子の運動を記述する「松原-豊沢モデル」を提唱しました。このモデルは、不規則な系における電子の挙動を理解する上で重要な概念となっています。

さらに、松原は誘電体、超伝導、超流動といった幅広い分野でも研究を行いました。これらの研究を通じて、彼は様々な物理現象の解明に貢献し、その知識体系を豊かにしました。

教育活動と学会活動

松原は、研究者としての活動だけでなく、教育者としても多くの人材を育成しました。大阪大学で助教授を務めた後、北海道大学で教授に就任。その後、京都大学教授、岡山理科大学教授を歴任しました。教育者として、次世代の物理学者たちに大きな影響を与えました。

また、日本物理学会の会長も務め、学会の発展にも尽力しました。学会の運営や研究交流の促進に貢献し、日本の物理学界の進歩に大きく貢献しました。

受賞歴

松原の卓越した研究業績は、数々の賞によって称えられています。

1961年（昭和36年） - 仁科記念賞
1971年（昭和41年） - 東レ科学技術賞
1991年（平成3年） - 勲二等瑞宝章

これらの受賞は、彼の科学への貢献と、物理学界における多大な影響力を物語っています。

晩年と影響

松原武生は、その生涯を通じて物理学の発展に貢献しました。彼の研究は、現代の物性物理学や凝縮系物理学の基礎を築き、後進の研究者に多大な影響を与え続けています。彼の業績は、今後も長く語り継がれるでしょう。

関連事項

松原振動数: 松原が統計物理学で使用した虚時間形式において、温度と関連付けられる振動数。

外部リンク

* Kotobank.jp

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